<天皇杯:清水2-0藤枝MYFC>◇7日◇2回戦◇アイスタ

 清水は、FW大前元紀(23)の1得点1“アシスト”の活躍で藤枝MYFC(静岡)を下した。後半27分にFKを直接決めると、同29分にはCKからFWラドンチッチ(30)の追加点を演出。格下相手に苦しむチームを救った。3回戦はツエーゲン金沢(石川)とJ2横浜FCの勝者と対戦する。

 チームを救ったのは、大前だった。一蹴りで、ホーム、アイスタに漂っていた嫌な雰囲気を一掃した。前半から決定機を作れずに無得点で迎えた後半27分だった。ゴールやや左より、約20メートルの位置で自らFKを獲得。絶妙なタッチで放たれたボールは、きれいな弧を描きながら壁の上を越えてネットを揺らした。「狙い通りでしたね」。待望の先制点が決勝点となった。

 大前には、ゴールへの道筋がはっきりと見えていた。直前のプレーで右足を負傷。痛みは試合後にアイシングをしながら足を引きずるほどだったが、自らボールをセットした。「壁さえ越えれば入ると思った」。ラドンチッチが何度キッカーを申し出ても、譲らなかった。イメージを完璧に再現した一撃。ラドンチッチも「(蹴らしてとは)もう言いません」と、脱帽した。

 直後の同29分には、CKからラドンチッチの追加点を演出。決定的な2点目を奪い、食らい付く藤枝MYFCを退けた。大前は「なかなか点を取れなくてしんどかった。難しい試合になったけど、勝てたことが良かった」。試合後は、サポーターの声援を心地よさそうに浴びた。

 8月末のリーグ大分戦では、流れの中から復帰後初得点をマーク。この日は、セットプレーから2点を呼んだ。大前は「セットプレーから取れたことは良かった。次も勝つことしか考えていない。連勝して順位を上げていきたい」と頼もしい言葉を並べた。苦しんだ天皇杯の初戦。ただ、今季初の3連勝が懸かった名古屋戦に向けて手応えはつかんだ。【前田和哉】