<J1:大分1-2湘南>◇第26節◇21日◇大銀ド

 最下位の大分が残留サバイバルマッチに敗れ“史上最速降格”の危機に陥った。16位湘南に敗れた大分の勝ち点は10のままで、浦和と引き分けた15位甲府との差は19に拡大。次節28日の鹿島戦で大分が敗れ、甲府が勝つと勝ち点差が22に広がり、残り7戦を全勝しても上回れない。昨年、7試合を残して最下位で最速降格した札幌と並ぶが、決定日は9月29日だったため1日早くなる。

 アクシデントもあった。前半26分だった。ロングボール処理に跳んだGK清水が、DF若狭と双方頭を流血するほど激しく接触し、脳振とうを起こして大分市内の病院に救急車で搬送された。検査の結果、幸い異常は見つからず本人もそのまま自宅に戻ったという。だが試合が7分間も中断する正GKの負傷退場に選手は動揺しないはずがない。田坂和昭監督(42)が「キーパーを代えるのは痛かった」という想定外の交代劇。ゲームプランが早々に崩壊し、1-1の同点で迎えた後半9分、ついに勝ち越された。DF安川有(25)が「圭介のために頑張りたかった」と決めた同点ゴールも空砲に終わった。

 大分は昨年、J2の6位からJ1昇格プレーオフ(PO)を制して4季ぶりの復帰を果たした。09年にJ2降格して経営難からクラブ消滅危機にも陥ったが、大分県全体の財政支援で復活を遂げた。県民の夢を背に臨んだ新たなステージだったが、たった1年でついえようとしている。【菊川光一】

 ◆J2史上最速降格

 昨年9月29日、札幌は川崎Fに敗れ、降格が決まった。9月29日の降格決定は08年札幌の10月19日を更新するスピード記録で、9月中の決定は史上初だった。大分は次節28日に鹿島と対戦。15位甲府が勝ち、大分が敗れると降格が決定し、札幌を1日上回ることになる。