新助っ人が攻撃のアクセントになる-。J2札幌に新加入したブラジル人MFヘナン(23)が沖縄合宿4日目の23日、金武町での練習に合流した。武器はドリブルを生かした局面の打開で、財前恵一監督(45)はトップ下や左サイドハーフでの起用を中心に想定している。初日の練習後、新外国人は「1対1の勝負に自信がある」と早くも強気の発言。期待のレフティーが、札幌の攻撃を進化させる。

 さわやかな笑顔とともに、新風を吹き込む。ヘナンは、午前にランニングや体幹トレーニングなど別メニューをこなし、午後からボールを使った全体練習に部分合流。パスやボール回しに入ると、穏やかな笑みを浮かべながら、約1時間のメニューを消化した。「みんなが温かく受け入れてくれて、札幌でサッカーをやれることに感謝の気分さ。楽しくて思わず笑顔が出てしまった。チャンスを生かしJ1昇格に貢献したい」と、目標を掲げた。

 日本でのブレークを目指す。前所属のローマ・エスポルチアプカラナはブラジルでは4部に相当。まだ23歳と若く、将来のステップアップを狙い、初めて母国ブラジルを出た。昨夏にもJクラブから打診があったが移籍は実現しなかった。だからこそ「日本でプレーをしたいという気持ちは前から強かった。札幌からのオファーを聞いてすぐに決意した」と迷いなく、新天地に渡ってきた。

 自分の使命も日本サッカーの特長も、しっかり把握している。クラブではJ2下位に多い、守備を固めた相手をこじ開けるためのキーマンとして獲得した。「マークをかわして数的有利をつくるのが自分の役目。Jリーグは守備が早いと聞いているが問題ない」。ブラジルでは昨年11月上旬までプレー。オフを含め1カ月半のブランクがあるが沖縄、熊本の合宿で仕上げ、3月2日の開幕磐田戦に間に合わせる。

 財前監督は初日の動きを見て「左サイドかトップ下で考えている。コンディションはこれからだが、うまい選手という感じはある」と印象を説明した。さらにエメルソン、ウィル、フッキら札幌の英雄を知るポルトガル語の鈴木通訳は「理解度が高い。練習内容の説明を聞き返すことがなかった」と分析。明るくクレバーなブラジル人ドリブラーを加え、札幌が攻撃のバージョンアップを図る。【永野高輔】

 ◆ヘナン(マルコス・ヘナン・オリベイラ・サンターナ)1990年4月7日、ブラジル生まれ。08年にグレミオ・バルエリでプロ生活をスタート。ボタフォゴ、ヴェロなどを経て昨年6月からローマ・エスポルチアプカラナでプレー。札幌には期限付き移籍で契約期間は今年2月1日から来年1月1日まで。167センチ、64キロ。利き足は左。