FW兼務で開幕狙う!

 J2札幌は沖縄合宿11日目の30日、金武町陸上競技場で九州大学リーグ2部の琉球大と練習試合を行い、先発1トップで出場した石井謙伍(27)がチーム1号を決め、5-0の勝利に貢献した。今季からプロ初のMF登録に変更も、FW内村圭宏(29)の負傷などでFWとして出場。サイドハーフとして再獲得されたが、点取り屋としての能力も発揮しながら、開幕先発を目指す。

 石井が、いきなりの1発で財前監督にアピールした。1トップとして先発出場すると同6分、MF菊岡からのパスを、胸トラップし右足ボレーでゴールに突き刺した。5年ぶりに札幌に復帰。故郷での再スタートをかけた14年初実戦で、チーム1号を挙げた。幸先いいスタートに「初戦で点が取れたのは良かった。これからも結果にこだわってチャンスは確実に決めていきたい」と手応えを示した。

 途中からは愛媛時代に磨きをかけてきた右サイドハーフでプレー。得点にはならなかったが攻守両面で奮闘した。「疲れている中での実戦だったが新加入の選手は、それなりにやれていた」と財前監督。石井にとって1トップでの先発は昨季、1度も経験がなかった。それでも「(トップ下の)前田と流動的に動きながらやれた。監督が求めるポジションは、どこででもやれるようにやっていきたい」と意気込んだ。

 札幌に再加入が決まった際、自ら「FWとしての意識はまったくない」と、MFでの定位置取りに専念する覚悟だった。愛媛時代はサイドハーフやサイドバックでのプレーが多く、登録はMFに変更された。だが、得点源のエース内村が左足首痛で離脱していることもあり、財前監督は1トップでテストした。「複数できる選手の方が出られる可能性は必然的に高くなる」と指揮官。開幕後も起こり得る事態だけに今後も、継続して石井をFW兼務で試していく方針だ。

 中盤での経験を生かし、09年までの札幌時代とは異なる新たなFW像も頭に描いていく。「サイドの選手が持ったときにどこに動けばパスを出しやすいか。客観的に考えながら動きたい」。愛媛時代の昨季開幕戦ではサイドハーフとして1ゴールを挙げ、勝利に貢献した。今季は変幻自在の二刀流で、2年連続の開幕弾を狙う。【永野高輔】