地元仙台育ちのJ最長身GKが、世界基準の技術を身につける。仙台の新人GKシュミット・ダニエル(22=中大)が宮崎・延岡キャンプ4日目の6日、佐藤洋平GKコーチ(41)から猛特訓を受けた。196センチの高さと手足の長さに加え、東北学院中3年まで守備的MFとして鍛えた足元の技術を武器に1年目から守護神の座を狙う。

 歓声を上げながらサッカーテニスを楽しむフィールドプレーヤーを横目に、ダニエルらGK陣は佐藤コーチのシュートの嵐を浴びた。前日5日の練習試合ではピンチがなかったため、ハードな練習は他の選手たちが乗った送迎バスが宿舎へ向かった後も続いた。懸命にボールを追いかけたルーキーは「今日はキツかったです」と汗をぬぐった。

 ゴールが小さく見える圧倒的な存在感が最大の魅力だ。正GKを争う桜井は184センチ、関は177センチ。ダニエルは「サイズだけは世界基準」と笑う。だが、技術面では「コーチングとシュートストップは先輩方に及ばない」と自覚している。佐藤コーチも「まじめだし、いいものを持っているので基本から磨いていきたい」と弱点克服を目指して指導を続けている。

 196センチまで成長した要因は、米国人の父からの遺伝と誰もが驚く食欲だ。中大時代は人気店「ラーメン二郎」の常連で、注文は「“大”の野菜増しです」と笑う。キャンプ中の宿舎でも「太りやすい体質なので気をつけてます」と言うが、同期入団の二見が「アイツはおかしい」と証言するほどの量を平らげている。

 もう1つの武器は足元の技術だ。アーノルド監督(50)は最終ラインから攻撃を組み立てる際、「GKを使え」と指示を出す。中学時代はCKも蹴っていたというダニエルは「先輩たちに絶対負けない部分」と胸を張る。最大の目標を「(浦和の)西川選手のような攻撃の第1歩になれるGKになって、絶対日本代表に入る」と掲げる。広島に移籍した林から背番号16を受け継いだ。仙台のゴールを守り、世界の舞台へと羽ばたくつもりだ。【鹿野雄太】

 ◆シュミット・ダニエル

 1992年(平4)2月3日、米イリノイ州生まれ。2歳で来日して仙台へ。小2から八幡スポーツ少年団でサッカーを始める。東北学院中までポジションは守備的MF。東北学院高でGKに転向した。中大では1年から3年までJ1川崎Fの特別指定選手。2、3年時には全日本大学選抜にも選ばれた。家族は米国人の父、日本人の母と兄。196センチ、90キロ。趣味はゲーム。血液型A。