課題だった守備に改善の兆しが見えた。仙台は宮崎・延岡キャンプ10日目の12日、J2長崎と練習試合(40分×4本)を行い、合計3-2で勝利。2点は失ったものの、8日の大分戦後からプレスの位置とタイミングを修正した成果でピンチを招く回数は確実に減った。

 4日前とは比較にならないほど、守備の安定感が増した。1本目6分、相手GKにバックパスが入った瞬間、後方から「GO!」の声が飛ぶ。前線から一気にプレスをかけ、中盤でボールを奪った角田が右へ展開。太田のクロスをウイルソンが左足で合わせて先制点を奪った。今季の自身“初ゴール”を決めたエースは「チームとして守備がよくできたことが、得点よりうれしい」と胸を張った。

 大分戦と同じように相手のミスを誘って得点したが、ここからが違った。長崎が敵陣でボールを回し始めても、FWや2列目の選手はプレッシャーをかけない。コンパクトな陣形を保ちながら自陣に近づくにつれて少しずつ距離を縮め、縦やサイドにパスが入る瞬間にスイッチオン。2、3人で素早く囲い込んでピンチの芽を摘んだ。ボランチの位置でボールを奪い続けた富田は「FWが何回も行くのは(体力的に)きつい。僕のポジションからスイッチを入れたりして、メリハリができた」。前線からのプレスをかわされ、選手同士の距離が間延びしたところを徹底的に狙われた大分戦からの修正が見て取れた。

 守備に収穫はあったが、攻撃面の課題は残った。長崎の積極的なプレッシャーにロングボールが増え、2本目以降は試合を支配された。仙台の得点はPKと二見のロングスローから。いずれも赤嶺が決めたが、流れの中からゴールは生まれなかった。グラハム・アーノルド監督(50)は「ボールをキープして支配することを改善しないといけない」。3月1日の開幕まで、あと16日。与えられた試練を1つずつ乗り越えていく。【鹿野雄太】