復興への祈りよ、届け-。東日本大震災発生から3年が経過した11日、仙台は全28選手とスタッフあわせて約40人が仙台市若林区荒浜地区を訪問。午後2時46分に黙とうし、追悼と未来へのメッセージをキャンドルに書き入れた。

 目の当たりにした現実に、誰もが言葉を失った。東北を襲った悲劇から3年が経過しても、荒浜地区は津波の爪痕が残ったまま。慰霊碑に献花、黙とうをささげたアーノルド監督(50)は「現実を突きつけられ、やりきれない気持ちと悲しい思いでいっぱい」。来日後に石巻、女川など県内数カ所の被災地を訪れているが「3・11」という日に、あらためて被害の大きさを痛感した。

 初めての3月11日に合わせた訪問は、選手会の発案だった。一昨年はリーグ戦翌日で練習試合を行っており、昨季はACLの予選リーグ江蘇舜天戦の前日で中国・南京に遠征中で実現せず。選手会長のDF渡辺は「3年がたっても現状は変わっていない。ピッチで負けている姿や、戦っていない姿を見せてはいけない」。指揮官も「仙台、宮城を代表するクラブとして、大きな役割を果たさなければならない」と1つでも多くの勝利を届けることを誓った。

 言葉では語り尽くせない思いは、キャンドルにしたためた。アーノルド監督は「仙台、強く生き続けよう」と英語で書き入れた。渡辺は「閉ざしてしまった心を開く活動をしていきたい」。DF角田主将も「サッカー以外のことを、もっともっとやるべきだと思った」とサッカー教室など、継続した支援を約束。ベガルタが復興のシンボルとなるために、大きな傷を負った宮城、東北の人々とともに戦い続ける。【鹿野雄太】