<J2:京都1-1札幌>◇第5節◇30日◇西京極

 エースの2戦連発3号で追いついた!

 J2札幌は京都と引き分けた。後半11分に失点も、同33分にFW内村圭宏(29)が、ゴール前の混戦から得点を決め、ドローに持ち込んだ。財前恵一監督(45)就任後、リードされてから引き分けに持ち込んだのは初めて。前回対戦まで1勝9敗と苦手な鬼門西京極だったが、敵地で貴重な勝ち点1を拾った。3月で勝ち点8以上を挙げたのは昇格した07年以来7年ぶりとなった。

 形にこだわらない内村らしい一撃だった。0-1の後半33分、MF菊岡の右CKを中央でMF宮沢がワントラップして左足シュート。ボールがGKに到達するまで一瞬の間に、内村はチャンスを見いだした。「GKの前でシュートに触る」。ゴール前でもつれ合いながら、跳び上がりシュートにかすると、GK前でコースが変わり貴重な同点ゴールとなった。

 場内放送は宮沢の得点と報じたが、公式記録は最後に触った内村の得点に訂正された。「他の人は宮沢の点に見えたかもしれないが、あれは僕の得点」。前節北九州戦に続き2試合連続ゴールで、敵地での勝ち点1に貢献した。財前監督が就任した昨季以降、追いついての引き分けは初。指揮官は今季「負け試合をいかに引き分けにするか」を昇格へのポイントの1つに挙げており「追いつけるようになったことと、2点目を取りにいった姿勢は納得」と成長を感じ取っていた。

 “ずるさ”が生きた。左足首痛を抱えるも「少し痛い方が調子がいい」と言える29歳。J1昇格した11年、友人から名前が入った赤黒の巨大な横断幕を贈られた。内村本人も気に入っている横断幕で縁に「Come

 On

 Tough

 Come

 On

 Nasty」と入っている。80年代に人気を博したデンマークのロックバンド、プリティ・メイズの曲で、直訳では「さぁタフに汚く!」。

 GKミスやバックパスを奪うなど、執念深く点を狙うプレーを見た友人が「ふさわしい」と落とし込んだフレーズだった。前節は左サイドの角度のないところからのシュートなど技で魅せたが、今回は味方のシュートに触れ、体でねじ込む、文字通りタフでずる賢い内村らしい得点だった。

 3月は2勝2分け1敗の勝ち点8。磐田、湘南など上位陣との対戦を含みながらの7位は上々の滑り出しだ。「中盤で時間をつくれるようになれば、もっと良くなる」。好調な主砲を中心に4月攻勢につなげる。