<J2:札幌1-0松本>◇第6節◇5日◇札幌ド

 都倉1号でホーム2連勝!

 J2札幌は松本を下した。前半途中から出場したFW都倉賢(27)が後半15分、移籍後初ゴールとなる決勝点を決め、2試合ぶりの勝ち点3に貢献した。前半途中にエースFW内村圭宏(29)が右太もも裏を痛め途中交代。代わりに入った新戦力が出場4戦目にして、貴重なゴールを決め窮地を救った。勝ち点11となり、プレーオフ出場圏の6位に浮上した。

 これが都倉スタイルだ。後半15分、MF砂川からのロングボールに右サイドで走り込むと、ボールが背後のDFの足に当たり運良く自身の前に転がってきた。不規則なバウンドにためらうDFを反転してかわすと、利き足の左足を振り抜いた。「あの位置だとGKはファーを予測する。だから逆にニアを狙った」。冷静にコースを見極め放ったシュートは、GKと右ポストの狭いスペースを抜けゴールに突き刺さった。

 約20秒の都倉劇場の始まりだ。「決めても今日はすかそうと思っていた」。スタンド前で7秒間、腕組みして仁王立ちすると、その後、両手のひらをサポーターに広げ13秒間、声援を全身で受け止めた。試合終了後には天井に両こぶしを掲げ、ひざまずいて締めた。

 神戸時代の12年6月30日川崎F戦で得点した際、イタリア代表FWバロテリをまねユニホームを脱ぐパフォーマンスをして警告を受けていたが、今回は「あれは札幌では罰金ものなので」と封印。新たな“腕組み”からの“パー”ポーズで決めた。

 「ここまで決められず、たまっていたから素直にうれしい」。速さの内村とは違う、高さを生かした新オプションが、4戦目で結果を出した。神戸との契約が切れた2月、欧州移籍を目指しデンマークのクラブに練習参加した。「北欧には僕のような体の大きいFWはたくさんいた。だから逆に普通に止めて蹴ることを意識して練習してきた」。この日は弾むボールを冷静に利き足の左足前にトラップし、狭いゴール右隅へ蹴りこんだ。海外移籍断念も、基本に立ち返った正確なプレーが得点になった。

 都倉1号で、ホームでは2戦連続完封勝利。昨年7月7日の愛媛戦以来9カ月ぶりの得点に「声援が都倉の力になった。これで満足することなく次からも点を積み重ねたい」と振り返った。187センチ、80キロのイケメンFWは、これからも斬新なゴールパフォーマンスを繰り出していく。【永野高輔】