<J1:甲府0-1清水>◇第6節◇6日◇中銀スタ

 清水は甲府を下し、ナビスコ杯G大阪戦に続き公式戦2試合連続の完封勝利を飾った。立役者はFW長沢駿(25)だった。前半22分、FWノバコビッチ(34)の折り返しを右足で流し込んで貴重な先制点を挙げた。好調を維持するストライカーが、公式戦5戦連続ゴールを記録。チームをリーグ戦では開幕名古屋戦以来5戦ぶりの勝利へと導いた。

 長沢の勢いが止まらない。前半22分。相手DFのミスからFWノバコビッチが抜け出すと、中央でフリーに。折り返しを右足できっちり流し込んだ。貴重な先制点で、自らの連続得点記録を「5」に更新。「ほぼノバコのゴールだった。良いボールをくれて本当に感謝している」と、お膳立てしてくれた“相方”と笑顔で抱き合った。

 格別の一撃だった。3月19日のナビスコ杯仙台戦から積み重ねてきた4つのゴール。しかし、勝利に結びついたのはナビスコ杯の2試合だけだった。試合前には「悔しさの方が強い…」と複雑な胸中を明かしていたが、この日の1点は今季リーグ初の完封勝利。そして、開幕戦以来の勝利につながった。「素直にうれしい」。ようやく“本当の”笑顔がはじけた。

 長沢は、試合前日に必ずゴールシーンを中心に自らの「好プレー」を目に焼き付けている。理由は「FWとして良いイメージを持っておくことが大事。何より、サッカーがやりたくてしょうがない気持ちになる」。そんな今季から始めた努力も、好調を支えている一因だ。

 昨年までの3年間、J2での武者修行を経てブレークの時を迎えようとしている。長沢は「まだまだ(ゴールを)とり続けたい。次も点を取ってサポーターに勝利を届けたい」と満足せずに、次節ホーム大宮戦(12日、アイスタ)へ気持ちを切り替えた。さくら満開の春。遅咲きのストライカーが、巻き返しの先頭に立つ。【前田和哉】