<J1:徳島0-2浦和>◇第16節◇23日◇鳴門大塚

 首位の浦和が最下位徳島とアウェーで対戦し、2-0で完勝した。シュート10本を許しながらも、J1新記録となる7試合連続無失点。連続無失点時間も630分として歴代2位となった。4月29日の横浜戦以来約3カ月もゴールを許さず、首位をがっちりキープした。

 浦和が、大人のサッカーで4連勝を決めた。7試合連続無失点のJ1新記録をあっさりと達成した。試合終了の笛がなると、間髪入れずにゴール裏からは「西川コール」が起こった。しぶい試合運びで最下位徳島をきっちりと下した。

 先制点はDF槙野智章(27)。MF柏木陽介(26)からのFKを左足で合わせた。昨年までは攻撃力を前面に出すDFだったが、今季は守備の人。1得点と無失点をてんびんに掛け「今日に限っては無失点のほうがうれしい。記録がかかっていたからね」と笑った。DF那須大亮(32)は新記録について「意識していない」と振り返ったが、槙野は「それはうそです。DFとGKは意識しているに決まってる」と笑いを誘った。

 昨季は最後の4試合で15失点と守備が崩壊し、6位に終わった。ペトロビッチ監督は「昨季は失点が多かった。その指摘を聞いておもしろくはないし、怒りを覚えた。だがその指摘は事実だ」と振り返った。3点取られても4点取り返すサッカーが指揮官の美学。それを捨ててでも、今季は結果にこだわっている。

 槙野は「昨季は攻撃陣に点を取ってもらって、あの順位まで行けた。だから今年は『守備で勝ち点を取ろう』と話した」とシーズン前の守備陣の誓いを明かす。完封勝利時に守備陣が輪になる儀式は、すでに10度を数えた。攻撃時に西川から「バランス!」という大声が何度も飛ぶ。常に相手のカウンターを意識させる。FW興梠は「1点を取れば後ろが抑えてくれる」という強固な信頼関係も強みだ。

 一方で今季4得点の徳島に10本のシュートを打たれた。槙野は「クオリティーが高いFWがいたら危ない」と言い、MF柏木は「暑くてももっと前からプレスに行ってもいい。世界の強豪はやっている」と課題も忘れなかった。今後は鹿島、神戸、川崎Fとの対戦が待つ。無失点試合の記録が続けば、首位の座は簡単には揺るがない。【高橋悟史】

 ▼J1連続試合無失点

 浦和が第10節の横浜戦からJ1新記録となる7試合連続無失点。93年清水、96年横浜F(現在消滅)の6試合連続を抜いた。時間にして630分間無失点で、こちらは延長、PK戦のあった93年に清水が記録した731分に次ぐ歴代2位となる。今季の浦和は16試合でわずか9失点。1試合平均0・56点は、08年の大分が記録したJ1年間最少0・71失点(34試合24失点)を更新するペース。