<天皇杯:清水2-1東京>◇4回戦◇7日◇味スタ

 清水は東京を下し、3年ぶりの8強入りを決めた。大榎克己監督(49)が、先月30日のリーグ鳥栖戦に続き、またしても思い切った采配を見せ、故障や代表遠征で選手11人を欠く中、苦しい状況で迎えたこの日の東京戦では3-5-2のシステムを採用。ボランチのMF六平光成(23)を3バックの中央に置き、DFブエノ(19)MF水谷拓磨(18)を公式戦初先発させた。

 この一手がはまった。相手の攻撃の起点となる2トップには対人に強い、ブエノとDF平岡康裕(28)がマンツーマン気味に対応。背後のスペースは六平が埋めた。指揮官が「中盤のこぼれ球をいかに拾えるか」と試合のポイントに挙げていたセカンドボールへの反応も、運動量豊富な水谷を中心に先手を取った。

 安定した守備から徐々にリズムをつかむと、後半24分だった。中央でパス受けたFW大前元紀(24)が相手DFをかわして、右足一閃(いっせん)。自身の最多連続得点タイ記録となる公式戦5戦連発で先制点をもたらす。同点とされた同32分には、ゴール前の混戦から最後はDFイ・キジェ(23)が体ごと押し込み、決勝点を奪った。

 約1カ月前。大榎監督の初陣で0-4と大敗した東京にリベンジを果たした。満身創痍(そうい)のチームが一丸でつかんだ勝利は、準々決勝進出を決めただけでなく、ここまでの成長を実感させる大きな1勝になるはずだ。【前田和哉】