<J1:横浜0-2名古屋>◇第23節◇13日◇日産ス

 J最速といわれるスピードを誇る名古屋FW永井謙佑(25)が、横浜戦で1ゴール1アシストの活躍を見せ、低迷するチームに貴重な勝ち点3を運んだ。前半35分に右足クロスで先制点をアシスト。後半3分はヘディングで追加点を決めた。12年ロンドン五輪代表のエースとして日本を4強へと導いたスピードスターが、輝きを示した。

 永井の魅力は幾つもある。底知れない能力を90分で披露した。1得点1アシスト。前半35分に完璧なクロスでFW川又の先制ゴールを生み、後半3分にはヘディングのループシュートで追加点。しっかりと勝利を運んだ。

 前半のアシストは「堅碁(川又)が呼んでいたから」と、右足でGKとDFの間に完璧なボールを通した。ここしかないというピンポイントクロス。川又はプッシュするだけで良かった。後半のゴールも「キーパーが前に出ていたのは分かっていた」と、こぼれ球をうまくコントロールした。

 50メートルを5・8秒で走る。この快足が最大の武器だが、右足での柔らかいクロスも得意技のひとつ。ヘディングでも、垂直跳び90センチというNBA選手並みの跳躍力で到達点は長身FWにも負けない。スピードだけの走り屋とみられがちだが、献身的な守備も含めプレーの幅はだれより広い。

 福岡大時代に日本代表招集歴がある。4年時にはW杯サポートメンバーとして、南アフリカ大会の16強入りも“経験”してきた。アギーレジャパンでは慶大に通う東京FW武藤が新星として輝いたが、大学生代表の“先輩”。ロンドン五輪ではスピードと決定力を存分に生かし日本を4強に導いた実績もある。

 期待を背負えば背負うほど輝き、応援してくれる人に結果で感謝を示す律義な男だ。この日は11年に結婚した奥さんとの特別な日。「結婚記念日ゴールです」と胸を張った。最愛の人は育児に奮闘中。アウェーまで観戦に来ることはできないが、画面を通じてその思いを届けた。

 代表については「まずはチームで、チームが勝てるようにやるだけ。そうすればいつか、呼ばれるかなと思います」と言った。招集を待つ圧倒的な力が、代表戦を終えたばかりの横浜で輝いた。【八反誠】