<J1:C大阪1-0浦和>◇第26節◇27日◇ヤンマー

 不振にあえぐC大阪が首位浦和を下し、8月9日以来7試合ぶりにJ2降格圏を脱出し、14位に浮上した。J1残留圏へと導いたのは、今夏加入の元ドイツ代表FWカカウ(33)だった。後半23分、FW杉本のパスを受けると、右足で約25メートルのミドル弾。右ポストをかすめながらネットを揺らすと、普段は冷静で真面目な男は、飛び跳ねて熱い抱擁を交わした。

 「ゴール前に行くスペースがなく、ミドルシュートしかないと思い、狙っていた。枠に強く蹴ることを意識した」

 前節名古屋戦で敗れたチームに「負けてぬるい雰囲気でいいのか!」とあえて厳しい言葉を選んだ。大熊監督就任後、初の先発のチャンスで2戦連発弾を決め「これでチームが変わったと思いたい」と汗をぬぐった。前日26日には主将MF山口が右膝を手術。今季絶望となったが、それでも山口は「最後に戻ってくるまで頑張ってほしい」と、仲間に思いを託していた。

 今季のチーム得点は26試合を終え、J1ワースト5位の28得点。この日も他の攻撃陣の得点力不足が目立った。次節10月5日清水戦はMF長谷川、DF丸橋が累積警告で出場停止。U-19日本代表に選出されたFW南野も離脱する。J1残留を争う下位との直接対決が5試合残り、しかも大混戦の状況にある。

 試合後、ロッカールームでは「次の試合が大事だ」と声が飛び交った。残り8試合。首位に勝ってつかんだ自信は、J1残留へ新たなエネルギーとなる。【福岡吉央】

 ◆カカウ

 本名クラウデミール・ジェロニモ・バレット。1981年3月27日、ブラジル生まれ。09年にドイツ国籍を取得し、同年代表デビュー。10年W杯南アフリカ大会にも出場、通算23試合6得点。ニュルンベルク、シュツットガルトなどを経て8月にC大阪加入。179センチ、74キロ。