<J1:大宮1-0東京>◇第28節◇18日◇NACK

 日本代表の東京FW武藤嘉紀(22)に試練のときが訪れた。完全に主導権を握り、ほぼ一方的に攻め込んだ大宮戦でフル出場したものの、ゴールに届かず連敗を喫した。後半11分には、右タッチライン沿いにドリブル突破を図ると、大宮DF高橋から強烈なタックル。警告覚悟で食い止めにかかる相手に「だいぶ削られました。だけど、こういう中でやって成長していかないといけない。マークが厳しい中でどうやってゴールするかで、真価が問われる」。弱音は吐かなかった。

 得点源を封じようとする相手に阻まれ、前半は好機に絡めなかった。それでも後半25分に左から抜けだし左足シュート。同40分には逆の右からMF中島のスルーパスを受け、放った右足シュートは力んで枠外に飛んだ。「勝ちきれなかったのは僕自身のせいでもある」。今季11得点の新人は責任を背負い込んだ。

 初めて代表に合流した9月1日からこの日まで48日間のうちオフはわずか3日。14日のブラジル戦では後半から出場し、世界トップを体感した。だが往復約1万キロの長距離移動を経て、中3日の大宮戦は“連続勤務”19日目。「正直、体はきつい」というが「もう1段階上がるための課題」ととらえる。代表とクラブとの両立の難しさは、代表選手の常。「難しさもあるけど、言い訳にはしたくない」。この壁を乗り越えたとき、武藤はさらに高く跳び上がる。【栗田成芳】