川崎Fの元日本代表MF稲本潤一(35)が、クラブの来季構想から外れることが17日、決定的になった。今季は選手寿命を延ばす狙いもあって本職のボランチからセンターバックに転向したが、ここまでリーグ戦の出場は11試合(316分)にとどまっている。庄子取締役強化本部長は「残り3試合ある。今が(構想外の)ボーダーライン。まだ決めていない」と話したが、複数の関係者によると、構想外を前提に来季の編成を考えているという。

 稲本は97年、G大阪ユースに所属しながら当時史上最年少の17歳6カ月25日でJリーグデビュー。日本代表にも選出され、W杯には02年から3大会連続出場。02年日韓大会の1次リーグ、ベルギー戦とロシア戦ではゴールも決めるなど初の16強入りに貢献し、イングランドの名門アーセナルへ移籍を果たした。ガラタサライ(トルコ)などを経て10年に川崎F入り。国内外9クラブを渡り歩いた。

 今季は優勝の可能性こそ消滅したが、現在5位でアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を狙うチームではDF谷口らが台頭。35歳になり陰りも見え始めたが、豊富な経験に裏打ちされた安定感のあるプレーは健在だ。普段の練習でも準備を怠らない姿勢は若手の良い手本で、風間監督も「全幅の信頼を寄せられる選手」と話すなど、その存在感は抜群。稲本は来季以降について「しっかり考えていかないといけない」と話していたが、現役続行を希望しており、J1、J2を問わず、他クラブからのオファーを待つ構えだ。