オランダ1部ヘーレンフェインの日本代表MF小林祐希(24)は、ホームでFWハーフナー・マイク(29)のデンハーグと対戦し、チーム2点目の起点となるなど、2-0の勝利に貢献した。

 「守備の対応や、囲まれたときのボールの置き所は、オフで取り組んだことが(試合で)そのまま出た」と納得のプレーだった。

 この試合は、オランダ代表の守備的MFスタイン・スハールスが負傷で欠場。小林はスハールスの代わりにアンカーに入り、ゲームをコントロールした。1-0の後半19分には、相手の縦パスをカットし、目の前にいたDFをドリブルでかわして味方にパス。これが2点目につながった。「スタインがいる、いないにかかわらず、自分が中心となってやっていけたら」と、中心選手としての自覚を口にした。

 小林の一問一答は以下の通り

 -今日の試合は完璧だったか

 いやー、前に行きたいけど。でもポジションがポジションだからしょうがない。あれがオランダの6番(アンカー)の役割かもしれないので。相手(の力)もあることだから、一概に良かったと言えないけど。守備の対応とか。囲まれたときのボールの置き位置というのは、オフで取り組んだことがそのまま出たかなというのは感じましたね。

 -相手に詰め寄るアプローチが素晴らしかった。

 あの、それは俺のチームメートに感謝しています。俺は別に言われたと通りにやっているだけなので。

 -(加入から)この半年で取り組んできたこと

 そうですね。半年、代表に初めて入った時くらいから真剣に守備の対応というのを考え始めて。約半年。半年かかるんだっていう感じですね。でも、今日よかったから次もっていうわけじゃないし。今日は、全体の(相手への)ハメ方が良かったから、俺のところで取れたというのもあるし、予測も良かったのもあるし。相手のレベルが上がった時に同じような対応ができるかどうかが課題なので。もう、今日の試合は俺の中では1度リセットという感じですかね。

 -次の3位PSV戦がとても大事な試金石になる

 PSV戦というよりも、来週は3連戦なので。そこで負けないという戦い方なのか、全部勝ちに行くっていう戦い方なのか。それはもちろん監督が全部勝ちに行くと言えば、もちろん100%だけど。

 でも、やっている選手が今日の試合は勝ち点1(引き分け)で、腹をくくれる、時間帯とかで、そういうのもあるわけで。アウェーだし。もちろん勝ちに行くけど。その中で焦らないとか、ボールを持たしても良いところとか。ここはウチがボールを保持しないといけないところというのをね。(アンカーは)だいぶ(ボールを)操れるポジションなので。スタインがいる、いないにかかわらず、自分が中心になってやっていけたらと思っています。

 -今日の試合を見る限り、スタインがいなくても小林選手がいれば大丈夫なのでは

 あの、そう周りが思ってくれることは俺にとってはすごい光栄なことだし。でも、それに自分が惑わされたくないというか。惑わされないように言動、行動、態度、振る舞いというのを見せていかないといけないなと思います。

 -前の練習試合でスタインがけがしてから、ここまでの準備期間中に中盤の底をやるように言われたか

 突然ですよ。言われたのは。(中断期間中の)ウォルフスブルクとの練習試合の前に「祐希、お前、スタインのポジションできるか」って。いや別に言われりゃできるけど。やれって言われたらできるけど、なんでって聞いたら「お前の方が全体を見てやれると思うから」って。俺は、1個前(のポジション)じゃないのかって。1個後ろかって、ちょっとがっかりじゃないけどね。けど、どこでも、使われることが大事なので。信頼してもらえている証拠でもあるし。スタインの代わりで(アンカーに)置くっていうのはね。この準備期間中で(やろうと思えば)補強できたわけで。そこを補強せずに、スタインが駄目でも祐希を下げて、他のやつを前で使えばいいって、腹をくくってくれたことが、俺はうれしいから。それは、監督に伝えておいてください。

 -2点目。完全に機能していた

 あれは完全に(相手にボールの出しどころを)誘って。こっちを切りながら、ばかだなーと思いながら。そういう遊びもできるようになってきたし。その後、簡単に後ろに下げずに(相手DFを)1枚2枚はがしてトンっていうのが、それも練習のたまものだと思うので。ほんとに一段ずつですけど、成長してるとは思います。

 -低い位置で相手のプレスが掛かっても、GKも使いながらしっかりボールを回してビルドアップしていくことが、2、3回あった。その後、うまく回した選手に「OK、OK」って小林選手が声を掛けしていました

 スタインがやっていることを、そのまま出せたという感じですね。見てるから、横で。プレスかかってもつないでいくのがうちのサッカーのやり方なので。スタインが抜けたからそれが出来ないって言われたら、すごいむかつくんでね。スタインが抜けても、スタインがいない方がパスが速く回るんじゃないかというくらい、やってやろうというのはもう、昨日のうちから決めていたので。

 今日、プレーする中で、初めてあのポジションでプレーするってなって。自分の中で3つ柱を決めて、昨日のうちに。今日はそれに徹底したので。逆に攻撃でのアクセント1回、ペナルティーエリアまで入っていって。サム(・ラルソン)とワンツーとか。1回だったけど。まあ、後ろで、真ん中でいいプレー出来たかなと思います。

 -3つの柱というのは

 サイドに(ボールを)散らすこと、守備で激しく、空中戦負けない、の3つ。相手が3バックできたら、俺は絶対にトップ下のやつとマンツーマンでデュエルになるから。そこでどれだけやらせないかとか。どれだけ後ろまで付いていけるかとか。空中戦もそうだし。そこで負けなければ、相手は(できることが)何もないと思ったんで。そこだけをしっかりやりました。

 -センターバックが引っ張り出されたり、サイドバックが前に行き、後ろのカバリングで最終ラインに入る動きもスムーズに出来ていた

 そうですね、そこで俺が入った時にもう1人の片割れ(味方選手)が俺のポジションに入って来てくれないといけないから。でも、それは出来ていないから、俺がパって見た時にいないから。そこ(カバリングに入ること)を言いながら、俺が行かないと行けないっていう。

 もう1個、ワンランク上のこともやらないといけないし。でも、言いながらだと1個(プレーが)遅れるから。難しいけど。でもやらないとね。(ポジションが)ズレる時に、来いって言いながらとか。俺が下がるときに(前の選手に声掛けて)戻しながら。それは、もうワンランク自分が。周りにワンランク上のことを求めるんじゃなくて、自分がワンランク上に行かないと。そんなところかなと。今日も課題がいっぱい見えたので、自分の中で。チームとしてもね。

 勝ったから良いっていうふうには思っていない。ただ勝つだけじゃ駄目なんだって俺は思っているので。もっと4-0や5-0と相手を精神的に立ち直れないくらいボコボコに出来たはずなので。そういうところでは、2-0という結果には不満足です。

 -後半、監督が怒っていた

 うーん、俺が前(前線)に行ったからじゃない。俺は前に行きたいと。俺が行ったらもう1人のやつがカバーすればいいって(監督に)言ったら、お前が居て欲しいって(笑)。

 -今日はチームで唯一、半袖でプレーした

 スタインはいつも半袖だから。スタインはけがしてて。俺的に、彼は一番プレーしたいのにできないっていう気持ちをね(くんで)。彼に伝わればなと思ったけど、分かんないよね。彼は、そんなにリスペクトしすぎるなとか、自分を出せばいいってそういう国だと言ってくれるけど。

 やっぱり彼に対するリスペクトは忘れたことはないし。いつも彼とプレーしたいと思っている。彼の分までやりたいと思っているから。そういう姿勢でちょっとでも伝われば良いかなという気持ちで今日は半袖で。(リーグ後半戦)ファーストゲームだし。雪の中でひとりだけ半袖っていう。まあ、なんか逆に気持ち良かったというかね。スタインに対する敬意をという自分なりのメッセージでもあったつもりです。

 -Rマドリードから若い選手(18歳のノルウェー代表FWエデゴール)がレンタルで来たりして、ヘーレンフェインは面白いクラブですね

 彼がここを選ぶ理由というのはね、俺がここを選んだ理由と多分一緒だと思うので。感じるものがあるんですよ、多分。こうやって良いチームだし。良い監督だしね。