<セリエA:インテルミラノ2-0サンプドリア>◇2月27日◇ジェノバ

 インテルミラノの日本代表DF長友佑都(24)が、右サイドバックとしてアウェーでのサンプドリア戦にフル出場した。累積警告で出場停止となったDFマイコンに代わり、右サイドを果敢にオーバーラップし、質の高いクロスも入れた。安定した守備でも勝利に貢献。レオナルド監督も適応能力を絶賛した。

 後半28分。相手DFの位置取りが整わないうちに、スナイダーが電光石火で中央25メートルのFKをゴール右に突き刺した。練習中からじゃれ合うなど仲の良い長友も大喜び。スタンドのファンのもとへ駆け寄るスナイダーに抱きつき、頭をなでゴールを祝福した。

 そのスナイダーの今季リーグ戦3点目を生んだのが、インテルで初めて右サイドバックに入った長友だった。ハーフラインを越えたあたりでボールを受け、左足で中央のパッツィーニへパス。相手DFと競り合ったパッツィーニが倒され、得たFKだった。試合後、長友は「攻撃にも絡んでいけたし、試合をやるごとにコミュニケーションも良くなっていっている。本当に楽しくできた」と手応えを口にした。

 長友はこの日、試合開始早々から存在感を見せた。自陣でボールを受けると素早くドリブルで駆け上がり、FWエトーへ右足で低くパス。両足でクロスを上げる器用さを披露した。守備では相手シュートをスライディングでブロックするなど体を張り、敵のマークが厳しくなった後半は守りに意識を置いた。

 レオナルド監督は「長友が右でも左でも前でもプレーできるというのは、彼が日本にいたときから知っているので、驚きではない」と前置きしながらも「信じられないくらい適応能力を持っている」と絶賛。「守りでも、攻め上がってから戻ってちゃんとカバーできていた。戦術もよく理解している」と説明した。

 次戦は6日のジェノア戦。地元メディアは、サイドバックは左がキブ、右がマイコンに戻るという論調となっている。そんな中、左右サイドバック、左右MFとして、いつでも出場できるという長友の使い勝手の良さを、レオナルド監督も「チームにとって本当に貴重な戦力だ」と評価する。

 長友は試合終了後、37歳のマテラッツィと肩を組んで、ロッカー室へ入っていった。「ブラボーと言われた。2日間のオフにしっかり休んで、悪いことするなよって言われました(笑い)」。長友は、フィールド内外で、急速にチームに溶け込んでいる。【波平千種通信員】