【カリャリ(イタリア)27日=波平千種通信員】ACミランの日本代表MF本田圭佑(27)が初アシストでチームを救った。26日、アウェーのカリャリ戦で中盤の右サイドに入り、移籍後初のフル出場。3度の決定機を決められなかったが、1-1の後半44分に右CKからFWパッツィーニの決勝弾をお膳立てした。逆転勝ちに貢献し、セードルフ監督は高評価。一夜明け、イタリア各紙もまずまずの評価を下した。

 本田が左足でチームと自らを救った。下位カリャリ相手に後半44分、右CKからパッツィーニの決勝弾をアシスト。途中出場の愛称「パッツオ」が蹴り込むと、すぐに選手の喜びの輪ができあがった。間に合わなかった本田はピッチ脇にいたミランのコック、ペルセキーニさんと抱き合った。この白星で低迷するミランはリーグ2連勝を飾り、順位も11位からひとケタの9位に上げた。

 舞台は風の強い地中海のサルデーニャ島。本田にとってミランでは初のチャーター機移動、初となる明るい昼間の試合だった。開始から決定機でシュートが決まらず、1度は“戦犯”になりかけていた。

 リーグ初得点のチャンスは3度もあった。前半18分、カウンターからFWバロテリの完璧なラストパスを受け利き足ではない右足でシュート。同39分には右後方からのDFデシリオのクロスを頭で合わせたが、ともにGKに阻まれた。後半14分にはFWロビーニョとのワンツーで抜け出したが左足シュートは枠の上へ。不発、本田が乗り切れないミランの象徴になりかけていた。最後のひと仕事が大きかった。

 トップ下ではなく2列目の右で起用したセードルフ監督は納得の表情でこう言った。「4年間彼を見ているが、しばしば右でプレーしてきたレベルの高さを示した。見せ場をつくり、チームにクオリティーを持ち込んだ。短い時間でさらに良くなるだろう」。

 得点につながる仕事をした背番号10に対する評価は上々。27日付イタリア各紙もまずまずの評価だった。ガゼッタ・デロ・スポルトは6をつけ「ゴールをCKからアシストし及第点にたどりついた」。コリエレ・デロ・スポルトは6・5と高評価で「セードルフ監督が提唱した『戦士』を自ら最高の方法で演じた」。トゥット・スポルトは6をつけ「ゴール前でミスが多い。しかしチームのために最後まで戦いアシストをした」。いずれもCKからのアシストがシュートミスを帳消しにしたと評価した。

 本田は試合直後にピッチを去った。会場でコメントを残さなかった。ロッカー室から出てファンと記念撮影はしたが、報道陣の待つ取材エリアは通らずバスに乗り込んだ。次節トリノ戦(2月1日、ホーム)はバロテリが出場停止となる。文句なしの得点で周囲を納得させる-。それが求められる状況がやって来る。