陸上の世界選手権(15日開幕・ベルリン)で前回の大阪大会、北京五輪の惨敗から再建を図る日本に早くも暗雲が垂れ込めている。北京五輪で繰り上げ銅メダルとなった男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)が体調不十分で欠場となり、目標設定の「メダル1、入賞6」の下方修正を迫られる可能性も出てきた。

 日本選手団の監督を務める高野進・日本陸連強化委員長は「室伏を入賞の数に入れていた」と打ち明けた上で「誰かが補ってくれるだろう」と期待感を込めた。だが男子400メートル代表の金丸祐三(法大)は左太ももの軽い肉離れで出場が微妙な状況で、女子マラソンの補欠で選出された森本友(天満屋)もモチベーションの維持が困難な立場とはいえ、体調が整わずに同行を辞退した。日本陸連幹部は「選手管理が甘い」と首をかしげる。

 関係者によると、目標のメダル1個は男子50キロ競歩の山崎勇喜(長谷川体育施設)か女子マラソンを対象にし、入賞6個は男子400メートルリレー、同棒高跳び、同400メートル障害、男女のマラソンと競歩などが候補という。

 今大会をロンドン五輪への第1歩と位置付ける高野委員長は「全体のムードは悪くない。男女400メートルリレーも世界と勝負できる状況」と前向きに開幕を迎えるが、さて結果はいかに…。