昨年11月の富士山マラソン(日刊スポーツ主催)から、男子フルに派遣した岡山春紀(21=早稲田同好会)が2時間42分12秒で優勝した。

 フルマラソンに挑戦してわずか1年。6回目のフルで初の海外マラソンを、優勝で飾った。

 スタートの午前4時は、昼間の暑さを避けるため辺りはまだ真っ暗だった。独走で走る暗い夜道の不安も、「ペース配分も上出来でした。前半は気持ち良く走れました」と地元の声援を耳にする余裕も見せた。

 ところが、暑さの影響で20キロ過ぎからペースが落ちた。日本を出発する前、家族と約束した優勝を胸に走りきった。

 出身は熊本県山鹿市。サイパン入りした14日に今回の熊本地震を知った。すぐに実家へ連絡を入れたが携帯はつながらず、SNSで兄との連絡が取れて全員の無事が分かった。被災者のためにも優勝すると気持ちを切り替え、最後まであきらめず力を振り絞った。

 東京農大に通う学生ながら、早大の同好会で競技力を磨く。現在は都内で1人暮らし。実家の山鹿市内には両親と姉と兄夫婦がそれぞれ住んでいる。テレビに映る地元の映像に十分な睡眠も取れずにスタートした。地元には、熊本・鎮西高駅伝部の同級生や友人も多い。「優勝する気持ちを被災地にも届けるつもりで走りました」と最後はガッツポーズでゴールした。

 初めてのフルマラソンは、昨年4月の佐渡トキマラソンで2時間37分16秒で優勝。次に11月の筑波マラソンで自己ベストの2時間25分00秒を記録した。その翌週には、日刊スポーツ主催の富士山マラソンに強行出場し、2時間28分20秒。3位入賞で今回の海外派遣を勝ち取った強者だ。今後について「就活なので実業団入りをめざしています」とし、目標は「2時間10分台を切って東京五輪を目指したいです」と力を込めた。