平成最後のニューイヤー駅伝を旭化成が3連覇で締めくくろうと意気込んでいる。全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。旭化成、富士通、トヨタ自動車が選手層の厚さなどから3強を形成する。その中でも3、4、5区の主要3区間候補の多さでは旭化成が群を抜く。

2年前の優勝は市田孝(26)が4区、村山謙太(25)が5区、市田孝の双子の弟・宏(26)が6区で3連続区間賞。5区で村山がトップに立つとその順位を落とすことなくゴールを駆け抜けた。昨年の連覇は孝が3区、村山が5区、宏が6区でそれぞれ区間賞の快走。旭化成として初めて起用した外国人選手のK・アブラハム(25)の2区から、一度もトップを譲らず2位に2分12秒の大差をつけて圧勝した。

今季は選手たちがMGC(※)出場権獲得に向けて、12月2日の福岡国際マラソンに多く出場した。旭化成からは市田兄弟とリオ五輪マラソン代表だった佐々木悟(33)深津卓也(31)丸山文裕(28)が福岡を走った。1カ月後の駅伝への影響は個人差があることで予想はできないが、福岡組が万全の状態で駅伝に臨めない可能性もある。

しかし旭化成は前述のように、福岡組を除いても主要区間を走れる候補が多数いる。大六野秀畝(26)は前回は最長区間の4区で区間5位と不本意な走りだったが、今季は日本選手権1万メートルを優勝するなど地力をアップさせている。11月の九州予選こそ「股関節の動きがスムーズではない」(西政幸監督)ため欠場したが、12月の甲佐10マイル(約16キロ)では46分30秒(8位)と復調。上り調子で元旦決戦に臨めそうだ。

村山謙も今季は7月のゴールドコーストマラソンで2時間09分50秒とサブテン(2時間10分切り)を達成。ニューイヤー駅伝では自信を持つ5区で3年連続区間賞を狙う態勢だ。双子の弟の村山紘太(25)は1万メートル日本記録保持者。前回はメンバーから外れたが、今季は11月の1万メートルで外国勢のハイペースに立ち向かうまでに復調した。

さらに1万メートル日本歴代2位の記録を持つ鎧坂哲哉(28)も、11月に1年半ぶりに27分台をマーク(27分55秒85の今季日本最高)。2015年に3区区間賞を獲得した実力者の復活で旭化成の戦力はさらに厚みを増した。

3区が鎧坂か村山紘、4区が大六野、さらに5区で村山謙の布陣が予測できるが、そこに市田孝や九州予選で快走した深津が割って入るようなら、相当に良い状態ということになる。さらに今季は、3年目の山口修平(24)が成長し、戦力としてメドが立った。来年2月の初マラソンに向けてスタミナを強化中の茂木圭次郎(23)にも期待がかかる。

旭化成は1~3区の序盤でトップに立つ可能性が高い。4区はライバルチームも強力で再び集団になる可能性があるが、5区の村山謙で再度抜け出す展開を描いているはずだ。

ニューイヤー駅伝で23回の最多優勝回数を誇る旭化成。平成の幕開けを6連覇(1990~95年)で飾ったチームが「最後の平成の大会で3連覇に挑戦する」(西監督)と意気込んでいる。

※MGC=マラソン・グランドチャンピオンシップ。東京五輪マラソン代表選考会。詳細はこちら>>