<陸上:高校総体近畿大会>◇第2日◇14日◇奈良・鴻ノ池陸上競技場◇男子100メートルほか

 陸上男子100メートルで日本人初の9秒台を狙う桐生祥秀(よしひで、17=京都・洛南高3年)が、母校のユニホームで30日の英国バーミンガムでのダイヤモンドリーグ(DL)に臨むことが14日、分かった。蛍光ピンクのランニングパンツで世界の強豪に勝負を挑む。高校総体近畿大会では100メートル決勝で10秒17の大会新記録で2連覇を果たし、400メートルリレーとの2冠を達成。2種目で高校総体(7月30日開幕、大分)に駒を進めた。

 いつもと同じ紺のシャツと蛍光ピンクのパンツで疾走した。この日、3本目となった100メートル決勝。向かい風0・2メートルでぐんぐん加速した。最後まで力を緩めずに自己記録の10秒01に次ぐ大会新の10秒17でゴール。山県に敗れた日本選手権の課題を修正し、過密日程のヤマ場で快走を見せた。

 「スタートで(最初の15歩を)しっかり数えて早く立たないように。残り5メートルで体が浮くので、100メートル以上に目線を置いた。前よりも強くなったというか、安定してタイムが出せた」

 納得の走りで、レース後は他校の女子選手から握手攻めにあった。約2時間後の400メートルリレー決勝はアンカーとして出場し、6番手でバトンを受けて5人をごぼう抜きして1着。「バトンをくれたら1位で帰ってくるとチームメートに言っていた」と笑顔。今日15日の200メートル3本に向けて「疲れは出ているが、言い訳せずに、どんどん記録を更新したい」と言った。

 ピンクのランパンで、世界デビューも近い。この日、英国バーミンガムでのDLも高校のユニホームで出場することが分かった。17歳の高校生だけに日本陸連がサポート態勢を敷くが、あくまで個人での出場。そのため日本代表ではなく、普段着で臨む。関係者は「野球で言えば(大阪の)PL学園のユニホームで高校生がメジャーリーグのオールスターに出るようなもの」。

 アシックス社は、すでにDL用ユニホームを作製中。胸に大書された「洛南」の文字はルールに抵触するため、サイズを縮小して右胸に配置される。同校陸上部OBでお笑いタレント森脇健児(46)は「僕の高校生当時からピンクのランパンだった。あのランパンで桐生君が世界の強豪と走るなんてすごいこと」。「ジェット桐生」が、ズラリと並ぶ世界の強豪を相手に洛南伝統のピンクのランパンで激走する。【益田一弘】