<フィギュアスケート:全日本選手権>◇23日◇さいたまスーパーアリーナ

 高橋大輔(27=関大大学院)がソチ五輪代表に選ばれ、3大会連続出場が決まった。

 高橋が2日連続で男泣きした。男子3人目の枠で生き残って、大観衆の前でマイクを握った。「昨日まで絶望していました。五輪では生ぬるい自分ではなく、追い込んで追い込んで、日本代表として恥ずかしくない演技をしたい」。目をうるませて、言葉に詰まった。

 孤独だった。フリーで失速して5位に沈んだ直後、「こんな演技は五輪でできない。こんな演技では五輪にいけない」と頭がパニックになって「多分、最後になる」と涙に暮れた。ホテルに戻ると「人生でこんなに悔しい思いをした日はない」と寝付けなかった。一夜明けて午後には1人で会場入り。たくさんのお客さんにまぎれて、ソチ切符をつかんだアイスダンスのリードきょうだい組などの演技を見た。「思い切り応援して、1日を過ごすことができた」という。気分転換もやはりスケートだった。

 日本スケート連盟の選考では羽生、町田に次ぐ3人目として3位小塚との一騎打ちだった。「文句なしで決められれば、という気持ちもあった。他に五輪を目指した人もたくさんいた。すべてを受け止めて五輪に臨む。素直にやったといえる気持ちじゃないが、決まったからには自信を持っていきたい」と言った。

 この日の発表を受けて、高橋陣営も即座に動いた。右すねを再検査する予約を病院に入れて、ソチ五輪に向けた調整メニューの作成に入った。ジャンプ不発の原因はけがによる左右の足の筋肉バランスが崩れたこと。それも五輪前に完治するめどは立った。高橋は「目標は大きく持ってメダル。上へ、上へという気持ちを持ち続けたい」。日本フィギュア界では初の3大会連続五輪で集大成の金メダルへ。生き残ったエースが死力を尽くす。【益田一弘】