20年東京五輪に期待がかかる柔道界のサラブレッドが、父と同じ道を歩む。92年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダルの古賀稔彦氏の長男で男子73キロ級の颯人(はやと、17=愛知・大成高)が、来春の入学を目指して日体大を受験する。20日に愛知県内で開かれた東アジア選手権の会場で「父と同じところで強くなるのも良いかな」と述べた。稔彦氏は同大に在学中の88年にソウル五輪に出場した。

 「平成の三四郎」と呼ばれた父から受け継がれたDNAは、確実に成長を刻んでいる。昨年の高校総体、3月の全国高校柔道では2位。頂点にはわずかに届かないが、得意の内股を武器に成績を残してきた。

 この日は決勝で4月の全日本選抜体重別2位の土井に優勢勝ちを許したが、初のシニア大会、そして初めて父と同じ日の丸を背負った。「父の写真などでは見ていましたが、いざ着ると違う思いがある」。稔彦氏も「本人の意欲になったのでは。プレッシャーを力に変えてほしい」と1つの転機となることを望んだ。

 124年の歴史を誇る日本最古の体育専門学校である日体大。20年東京五輪では70人の代表選手輩出を目指す。卒業生の中でも屈指の柔道家の息子への期待も大きい。「1つ1つ優勝していけば、東京も見えてくる」。日の丸を背負う回数を重ね、いずれは父と同じ世界の頂点へ。

 ◆古賀颯人(こが・はやと)1997年(平9)9月13日、川崎市生まれ。自宅が柔道場だったため、幼少期から競技に触れる。4歳から本格的に始め、大成中では12年全国中学生大会優勝、大成高では14年高校総体2位など。命名理由は「風という漢字が好きだった。日本で吹く風は世界でも吹く。世界を巡る人になってほしい」(稔彦氏)。174センチ、73キロ。