世界ランキング10位の山口茜(18=福井・勝山高)が死闘を制して決勝に進出した。元世界ランク1位で、11日に世界選手権連覇のマリン(スペイン)を破った王適嫻(中国)と対戦。1-1で迎えた最終ゲームは一時5点差をつけられたが諦めず、接戦に持ち込む。最後は王に4度もマッチポイントを握られながらも耐える。逆に3度目のマッチポイントを制し26-24で取り、2-1で勝利した。今日13日の決勝は同9位奥原希望(20)との日本人対決で2年ぶりの優勝を懸ける。

 足元が揺れた。最終ゲームの3度目のマッチポイント。山口は右サイドにショットを決め、フルセットの熱戦に終止符を打つ。いつもはポーカーフェースもさすがに苦悶(くもん)の表情を隠せない。「転んでショットを取ることが多かった。粘り強く見えたかもしれないが、足が出ていなかった」。過酷な83分間だった。

 最終ゲームは王に6-11と5点差をつけられて後半を迎える。「ずっと劣勢で勝てる気はしなかった」と振り返ったが、勝負は諦めない。攻め急ぎのミスショットが増えたことを反省。「相手がミスするまで我慢しよう」と、コートを大きく使い、長いラリーに持ち込み、チャンスを待った。耐えながら追いつくと4度の相手のマッチポイントをしのぐ。「勝敗に関係なく、目の前の1点を取る」と集中力を高め、3度目のマッチポイントで決着をつけた。

 対戦相手の王は元世界ランク1位で、今大会では世界選手権連覇のマリンを破っていた。11日の準々決勝ではロンドン五輪金メダルの李を撃破。2日連続で中国の強豪選手を破った価値は大きい。日本協会の銭谷欽治専務理事は「スピード、技術はもちろん、気持ちが強い。五輪金メダルも十分に狙える」と評価した。2年ぶりの決勝進出も、その眺めはまったく違う。「2年前は何も分からないまま優勝。今年は去年から世界を転戦して、トップ選手の実力を知った上で決勝までこれた」と価値を見いだす。決勝は奥原との日本人対決。過去の国際大会は4連敗で1ゲームも奪っていない。相性は悪いが「勝っても負けても最後。楽しんでプレーしたい」と真の実力を備えた18歳に恐れはなかった。【田口潤】