GPファイナル銅メダルの宇野昌磨(18=中京大中京高)が、世界選手権初出場(来年3月、ボストン)に王手をかけた。演技後半の4回転トーループに成功。国際スケート連盟公認ではないため、参考記録ながら“自己ベスト”の97・94点。好発進の2位で、出場2枠の日本代表に近づいた。

 最大の難所を越えた。宇野は4回転トーループで体勢を崩しかけた。右足でグッとこらえて成功。会場の手拍子を受けて滑り切った。演技構成点5項目中2項目が9点台の高評価だ。

 「予想よりもはるかに点が出た。ただ演技としては満足していない。もっとキレのいいものができる」。

 目標は2枠の世界切符。羽生が飛び抜けているだけに「言ってはいけないと思いますが、正直(羽生以外で)1枠を争っていると思います」。しっかり自分の現在位置を見つめている。

 長期ビジョンがある。18年平昌五輪を目標に、シニアデビューした今季から3年計画を立てている。関係者は「1年目は世界選手権で日本代表として(次回大会の)出場枠3を取ることに貢献する」と説明。宇野も「去年は何も考えずに試合をこなした。このままでは何かを背負った時に何もできない」。ただ出るだけではなく日の丸を背負う責任も理解。「今は少しシニアに近づいたと思う」。

 トップ羽生とは4・69点差。ただ18歳は「全然気にしてないです。今は5点差でもフリーで20点も30点もつけられると思うので。ずっと目標にしていく選手ですし」と軽やかに言った。優勝を過剰に意識して焦ることなく、確実に世界切符を取りにいく。【益田一弘】

 ◆世界選手権代表選考 日本の出場枠は男子が2、女子は3で、全日本選手権の優勝者は自動的に代表決定。男子の2人目は全日本の2、3位、GPファイナル出場者(羽生、宇野、村上)などから選ぶ。女子の2人目は全日本の2、3位、GPファイナルの日本勢上位2人(宮原、浅田)から選び、3人目は全日本の4~6位なども含めた中から総合的に判断する。ペアとアイスダンスは国際的な競争力を考慮して各1組を決定する。