競泳の萩野公介(21=東洋大)が北島流の戦闘モードで五輪金メダルを狙う。日本水連の強化合宿が9日、都内で公開された。従来はレースで自らの想定タイムに集中していたが、今後は最大のライバル瀬戸大也(21)を強く意識する。一緒に練習する北島康介(33)の勝負強さを学ぶ。

 先月末の北島杯東京都選手権。萩野は200、400メートル個人メドレーともに優勝したものの、疲労がたまって本調子でなかった瀬戸に肉薄された。大会後は平井伯昌コーチ(52)から「五輪イヤーの緊張感が感じられない。絶対勝つとの強い気持ちを持て」と叱責(しっせき)された。

 平井コーチの頭には2大会連続五輪2冠の北島の存在がある。04年アテネ大会前。種目を絞ればとの声もあったが、師弟とも2冠への気持ちは一切ぶれない。平井コーチは「負けるなんて1度も考えなかった。信じ込む。人間の意志の力は強いんだ」と振り返った。

 今後はコナミオープン(20日開幕、東京辰巳国際水泳場)を経て、4月のリオデジャネイロ五輪代表選考を兼ねた日本選手権(同)を迎える。萩野は「五輪の舞台は独特だし、人間と人間の勝負。バチバチいって絶対に勝つとの気持ちでいく」と黒目を大きくして闘志を口にした。【田口潤】