1次リーグB組の日本男子が、初戦でスウェーデンに2-1で勝利を収めた。4月の右ひじ手術からの復帰戦となった世界ランク5位の国枝慎吾(32=ユニクロ)が2番手で出場。

 同7位のステファン・オルソンに7-5、6-3でストレート勝ちした。真田卓(30)と組んだ、直後のダブルスはフルセットの末に敗れたが、4カ月ぶりの実戦で2試合プレーして右ひじの不安を払拭(ふっしょく)。リオデジャネイロ・パラリンピックでのシングルス3連覇へ手応えをつかんだ。1次リーグは男女各12カ国が4組に分かれ、各組1位が準決勝に進出する。

 スコアほど楽な道のりではなかった。さすがのショットが決まるかと思うと、相手のリターンに微妙に出遅れて失点する。グランドスラム史上最多39回優勝を誇るレジェンドの圧勝を期待した観客を少しだけ不安にさせた。「だいぶ不満はありますが、とりあえず勝利できてホッとしました。アップダウンがすごく激しくて……」。国枝の試合後の第一声も歯切れが悪かった。

 問題の右ひじに痛みは出なかった。ショットも悪くはない。気になったのは相手のショットにコート上を振り回される、らしくないシーン。「自分のテニスを支えているフットワークがよくなかった。勘みたいなところがしっくりこない。今日は30点から50点」と国枝。4カ月のブランクの意外な大きさを、実戦で突きつけられた。

 もっとも、その原因もすぐに突き止めたようだ。この4カ月間はずっと健常者をパートナーに練習を積んできた。「もう少し車いすの相手と場数を踏まないと。車いすテニスは2バウンドまでで返せばいい。その間(ま)が(健常者のテニスとは)違うから」。シングルスの直後のダブルスも、実戦の場数を踏むためあえて出場したという。

 3連覇を狙うリオデジャネイロ・パラリンピック開幕まであと3カ月あまり。12年のロンドン大会の年は2月に右ひじの手術をして、何とか本大会に間に合った。今回は4年前より手術が2カ月も遅い。ただ、その不安はこの日の勝利で解消できたようだ。「満足いかない中で、あの相手に復帰戦で勝てたのは大きい。あとはフィーリング。パラリンピックに間に合うという自信は深まった」。国枝が最後にひときわ強い口調になった。【首藤正徳】