20年東京五輪のボート、カヌー会場となる「海の森水上競技場」の整備費が491億円と高額な上に、海上という悪条件を抱える問題で共産党都議団は26日、小池百合子知事に埼玉県の彩湖を新たな会場にするよう提案した。

 同県ボート協会は彩湖案を50億円でできると試算している。一方で東京都なども同案を検討したが、護岸工事などで大幅な予算削減にはならないとし、海の森を選択した経緯がある。

 共産党は新たに23日に国際カヌー連盟のサイモン・トゥルーソン事務局長と電話会談した内容を明かした。それによると同連盟は、東京都の防風対策に納得していない。トゥルーソン氏は「コースに沿って(防風林としての)木を植えてほしいと要望したが、東京都から『できない。やる必要がない』と答えが返ってきた。私たちとしては同意できない」と答えたという。

 彩湖案にも「代替地に移動することはハッピーだ」と答えた一方で、カヌーは直線1キロあれば十分だが、ボートは2キロ必要なため「長さがネック。(代替地とするには)ボートとの兼ね合いが必要」と話したという。

 共産党によると提案を受けた小池氏の野田数特別秘書は「500億円は高すぎる。同じ問題意識を持っている」と発言したという。29日には小池氏肝いりの都政改革本部の第1次調査報告が行われ、五輪会場も見直される可能性がある。