25季目、折茂は47歳現役へ-。レバンガ北海道は今季最終戦で千葉ジェッツに74-76で惜敗した。最終成績を23勝37敗の東地区4位とし、今季2番目の5659人のファンの前で、Bリーグ元年最後の試合を締めくくった。折茂武彦選手兼社長(46)は、3点シュート2本を含む14点と活躍。3点シュートの国内リーグ通算1000本成功に残り“15”まで接近。来季の現役続行には明言を避けたが、記録達成へ意欲を見せた。

 コートに転がるルーズボールに向かって、折茂が鬼の形相で飛び込んだ。シーソーゲームとなった第4クオーター(Q)終盤。2週間前から感じるようになった左ひざの痛みをこらえ、46歳はがむしゃらにボールをつかんだ。残り35秒4。68-71の3点差から、左サイドで相手ファウルを誘うと、与えられた3本のフリースローをすべて決め、試合を振り出しに戻した。「こういう試合を勝てないのは、チームにまだ何かが足りないから」。46歳最後の試合を終え、唇をかんだ。

 この日も折茂は折茂だった。第2Q開始早々に中央やや左から早いモーションの3点シュートを成功させて、リードを8点に開く。35-38の第3Q3分40秒に再び同点となる3ポイントを鮮やかに決め、開幕戦以来となる5000人以上のファンの歓声を浴びた。清永貴彦チーム統括(42)は「相手にしてみれば、勝負どころでマークをしなきゃいけない日本人選手は1人(折茂)だけ。来季もプレーが見られると信じたい」と願うように言った。

 トヨタ自動車時代に日本リーグ優勝。日本代表として世界選手権出場も果たした。今季は国内リーグ通算9000得点をマーク。過去24シーズンの現役生活は、日本バスケットボール界の歴史そのものだ。「モチベーションがあれば、すぐに(現役続行を)決断する」という折茂の心をくすぐる記録が、“伝家の宝刀”3点シュートの通算1000本成功だ。この日の2本を加えて残り15。「来季プレーすれば必ず達成できるね」と、ベテランはニヤリと笑った。

 チャンピオンシップの出場こそならなかった。出場可能選手が一時7人となる窮地を乗り越え、終盤にB1残留争いを抜け出した。さらに経営者として約4000万円の黒字を確保。2億4000万円の債務超過解消への道筋も見えた。「まず少し休みたい気持ちはある。ただ来季もまたこのステージ(B1)で戦える。次の高みを目指していきたい」。背番号9はまた、B1のコートに帰ってくる。【中島洋尚】