25年30億ドル(約3300億円)の巨大マネーが、世界の男子テニス界を揺さぶった。国際テニス連盟(ITF)は16日、米オーランドで総会を開催。19年からの国別対抗戦デビスカップ(デ杯)の大幅改革案を承認した。新方式は、サッカーのスペイン代表DFジェラール・ピケが創設した大手投資会社「コスモス」が提案し、同社がデ杯に25年30億ドルの出資を行う。同社は、楽天の三木谷浩史会長兼社長が支援する。

 いくつかのマイナーチェンジはあったが、1900年に始まったデ杯118年の歴史が、初めて大きく変わった。年間計4週間を費やし、1年をかけてトーナメント方式で世界最強国を決めてきた方式から、11月の1週間で優勝を決める方式に変更。総会では、必要な3分の2を上回る約71%の支持を得た。

 テニスのツアーは、18年で言えば、17年12月31日の週から18年11月19日の週まで、大会ですべて埋まっている。その中で、4週間がデ杯に割り振られているが、2週間は4大大会の翌週での開催だ。ともに5セット試合。選手にかかる負荷は大きい。

 現在のデ杯には世界ランクのポイントがつかない。過密日程で疲労し、世界ランクに影響を与えなければ、国代表がいくら名誉とはいえ、トップ選手の出場は減っていく。5セットを3セットに変更する提案が昨年の総会で諮られたが否決。トップ選手確保のための抜本的な改革が叫ばれていた。

 そこに目を付けたのが「コスモス」だ。サッカーのワールドカップのように、1カ所に集まり1週間で決勝を戦う方式をITFに提案。加えて、25年で約3300億円、11月に1週間かけて行う18カ国の決勝大会に賞金総額2000万ドル(約22億円)を確約し、ITFを口説き落とした。

 現在、世界グループ16カ国にいる日本だが、2月の1回戦でイタリアに敗退。9月にボスニア・ヘルツェゴビナとプレーオフを戦う。勝てば、来年2月の予選を戦う24カ国入りは確定する。敗れても、国別世界ランキングでアジア・オセアニア地区の上位3カ国に入れば、予選入りは可能だ。それ以外だと、アジア・オセアニアゾーンに降格する。