2014年のサッカーW杯ブラジル大会準備をけん引してきた同国のシルバ・スポーツ相が26日、汚職疑惑の責任を取って辞任した。地元メディアが伝えた。同国では16年のリオデジャネイロ五輪開催も決まっており、両大会の中心人物のスキャンダルにより、遅れが指摘されている大会準備の一層の停滞が懸念される。

 シルバ氏はルラ前政権の06年からスポーツ相を務め、ルラ氏と共に南米初となる五輪誘致を成し遂げた立役者。今年1月のルセフ政権発足後、閣僚の辞任は6人目で、同国の汚職体質の深刻さが露呈する一方、国民は政界浄化を進めるルセフ大統領を評価している。

 シルバ氏の所属政党の連立与党ブラジル共産党はスポーツ省からの助成金などをめぐり、約4000万レアル(約17億円)のキックバックを受け取った疑いがあるなどと地元メディアが今月、相次いで報道。集金担当者が捜査当局に対し、シルバ氏らに現金を手渡したと供述した。

 シルバ氏は疑惑を否定したが、最高裁が25日、捜査を開始するよう検察に命じ、政権内部で辞任圧力が高まった。ルセフ政権では6月以降、官房長官や運輸相、観光相ら中心閣僚4人が汚職疑惑で引責辞任。国防相も他の閣僚を批判して交代した。