<男子テニス:ストックホルム・オープン>◇10日◇スウェーデン・ストックホルム

 日本のエースで世界77位の錦織圭(18=ソニー)が、強運にも戦わずして4強入りを決めた。準々決勝で対戦予定だった第2シードで同31位のマリオ・アンチッチ(24=クロアチア)が急性気管支炎で棄権したため、不戦勝での準決勝進出が決まった。

 この日、昼食を終えて出番を待っている時に、相手の棄権が伝えられた。アンチッチは前日の2回戦で13本のエースを奪いストレート勝ち。それだけに「びっくりした。今日はタフな試合になると思っていた」と錦織は驚きを隠せなかった。

 自分自身もストックホルムに入ってから風邪をひき、右ひざを痛めた。この日も、練習で右ひざの痛みが出た。「僕も体調が悪かったので、ラッキーとしか言いようがない」。準決勝に向けてエネルギー充電で、この日の不戦勝は大きな休養となった。

 2月にツアー初優勝を遂げた時も、本戦1回戦で相手が試合途中で棄権した。錦織にとって、それ以来のツアー4強入りだ。「ここまで2試合頑張ったおかげかな。ここでリタイアするわけにいかない」。幸運の「追い風」で、日本男子史上初のツアー・シングルス2勝目にあと2勝と、完全に射程圏内に入った。