今季のプロバスケットボールbjリーグが、3日に開幕する。仙台89ERSは仙台市体育館で高松ファイブアローズを迎え撃つ。節目の5年目に浜口炎ヘッドコーチ(HC=39)から主将に指名されたのが、ガード高橋憲一(28)。プロ野球の楽天、サッカーのJ2ベガルタ仙台の試合にも頻繁に足を運び、先月29日には「開幕前に引き締めるため」と楽天-ソフトバンク戦を観戦した。悲願の初優勝へ-。HCと主将に意気込みを聞いてみた。

 「何やってんの!」。浜口HCの厳しい声が体育館に響く。9月28日のディフェンス練習時、最後まで走らない選手がいた。チーム創設5年目、自身も不惑を迎える今季。89ERSのテーマ「チームバスケットボール」を貫くため声を荒らげた。

 浜口HC

 走るところは全力で走らないと。1人でもやらない選手がいると(すべてに)対応できなくなる。『大丈夫だろう』は、やめないと。

 初優勝へ少しの甘えも許さない-。そんな意思の表れでもあった。

 主将を3年間務めた日下光に代わり、高橋が新主将となった。昨季のプレー時間は日本人選手最多。「黙々とやる選手。プレーで引っ張ってほしい」と期待を寄せる。秋田工高時代以来11年ぶりの主将に、高橋は表情を引き締めた。

 高橋主将

 団体競技なんで他選手の意見を尊重しながらやっていく。プレーで引っ張りたい。究極の理想はマイケル・ジョーダン。少しでも近づけたら。

 今季は司令塔のポイントガードにも挑戦。重責にも気負った様子はなかった。

 垣根を越えて、他プロスポーツからも力をもらう。開幕前に緊張感を高めるため、クライマックスシリーズへ向け白熱する、楽天-ソフトバンク戦を観戦。高橋主将は「自分に置き換えて見てます」と話す。リーグ初制覇へ「シーズン中、絶対に浮き沈みはある。その幅を小さくし、安定したチームにしたい」と落ち着いた口調に、確かな覚悟が感じられた。【三須一紀】