<高校総体:バスケット>◇3日◇沖縄市体育館◇決勝

 男子決勝は、ノーシードから勝ち上がった八王子(東京)が昨年12月のウインターカップ覇者の明成(宮城)を67-66と1点差で下し、初の全国制覇を成し遂げた。インターハイ出場を決める東京予選は3位(第3代表)だったが、3回戦では第1シードの延岡学園(宮崎)を倒すなど次々と強豪を撃破。東京勢の優勝は73年京北以来だった。女子は札幌山の手(北海道)が中村学園女(福岡)を98-74で下し、初優勝を飾った。

 しびれるクライマックスだった。66-66で迎えた試合終了残り15秒、八王子のセネガル人留学生、身長200センチのムハメド・サンブ(3年)がドリブルでゴール下へ突破をはかった。相手ディフェンスのファウルを誘い、フリースローをもらった。サンブが慎重に決勝点を決め、最後の攻撃もサンブと身長191センチの伊藤晶(2年)の“ツインタワー”が相手エースを囲んで抑えた。

 石川淳一監督は「最後までよく我慢できた」と、選手をたたえた。一丸の勝利だった。司令塔の千葉俊一主将(3年)は、昨年暮れにエース・サンブとプレースタイルなどの理解を深めるため、静岡・浜松市内へ旅行に出かけた。ホテルに2人で宿泊し、千葉は「これでサンブのことがよくわかった」と、サンブをうまくリード。サンブは決勝でチーム最多の22得点、リバウンド15。6試合合計で140点を奪った。

 サンブの性格の良さもチーム力アップにつながった。ホームステイ先の中島早苗さんは「日本語を覚えるのが非常に早い。今では近所の子供たちが、一緒にバスケットをするため誘いにくる」と喜んだ。今年12月のウインターカップは、王者として追われる立場となる。千葉は「もちろん2冠を目指します」と、力強く宣言。石川監督は「2冠や追われる立場なんて思わない」と控えめも、選手の成長に目を細めていた。【谷口輝博】