<大相撲夏場所>◇千秋楽◇25日◇東京・両国国技館

 稀勢の里が、2場所ぶりの2ケタ勝利で大関取りの足がかりをつくった。先場所は激しい突っ張り合いを演じた同郷の雅山を、左から強烈におっつけ、相手に突っ張らせないまま完勝。「勝てば」の条件だった05年秋場所以来の敢闘賞を、見事につかんだ。「内容は納得いってないけど、結果がついてきた。来場所につながってほしい」。初日に朝青龍を破るなど、前半の主役だった。

 勝ち越したここ4場所、いずれも2大関以上を倒している。左四つの形を磨き、上位とも五分に戦う姿に北の湖理事長(元横綱)も「10勝ということで、ひとつ上への第1歩です」と期待。貴乃花審判部副部長(元横綱)も「つなぎましたね。次が勝負。地力がついてきた」と目を細めた。

 それでも琴奨菊が勝ち越した瞬間、顔をゆがめて「うわっ~」とため息。関脇昇進を阻止され「来場所頑張って、上を目指したい」と引き締めていた。