抜き打ちの簡易尿検査で大麻に陽性反応を示した平幕露鵬(28=大嶽)と十両白露山(26=北の湖)について、日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)が、8日以降に判明する精密検査の結果が再び陽性でも、両関取が大麻取締法違反容疑で逮捕されない限り処分は行わず、自らも辞任の意思がないことが、4日に分かった。また、精密検査の結果にかかわらず、両関取の検査を新たにやり直したい意向も示した。

 精密検査の結果が「黒」でも認めない。あくまで露鵬、白露山の言い分を信じる北の湖理事長は言った。「2人が『絶対に大麻を使用していない』と一貫して否定しているのだから、8日に精密検査の結果が出たと言ってもそれで100%とは言えない。もう1回と言わず、どんどん調べてもらえばいい」。自らの進退や両関取の処分についても「(8日に)結果が出てもすぐに決めることはない」などと語った。

 両関取は2日の抜き打ち簡易検査で陽性反応となった。同日中に、五輪競技などで用いるドーピング検査と同じ手法で精密検査を実施。採取された尿の検体はこの日朝まで保存され、都内の検査機関に持ち込まれた。当初は「早ければ5日に判明」とされた精密検査の結果は8日以降にずれこんだが、協会アンチ・ドーピング委員会の大西祥平専門員(慶大教授)は「この結果で大麻を使用したか否かを含めてすべて分かる」と話していた。

 しかし、白露山の師匠でもある北の湖理事長は、そこで再び陽性反応が出ても納得するつもりはない。精密検査が判明次第、臨時理事会の開催が予想されるが、近い関係者には「(刑事)事件化されてない段階での解雇処分など考えられない。出場停止なども番付にかかわることで簡単には認められない」と話している。昨年の時津風部屋新弟子死亡事件でも、力士の処分は逮捕後だった。

 同時に北の湖理事長は、今回の騒動が協会内の権力争いに利用されているのでは、という疑いも持っているようだ。2日の簡易検査の際も、大西委員が両関取を所属部屋に一度は帰すことを提案しながら、一部理事が猛反対。2人を約6時間以上も検査場にとどめたことに対して「なぜ、大西先生の言う通りにしなかったのだろうか」と不信感を募らせているという。

 露鵬、白露山も精密検査の結果にかかわらず、徹底的に無実を主張する構えを見せている。果たしてそれが世間に受け入れられるかどうか。騒動は長期化の様相を呈してきた。