元幕内若ノ鵬(20=本名ガグロエフ・ソスラン)が、大相撲の八百長問題を告発することが28日、分かった。29日に都内で記者会見を開く。元若ノ鵬は8月18日に大麻取締法違反(所持)で逮捕され、同21日に日本相撲協会を解雇された。9月11日には「解雇処分無効」を求めて東京地裁に提訴。今回は、「八百長疑惑」を報じ、同協会から名誉棄損で訴えられている「週刊現代」(講談社)側につき、被告側証人として出廷を希望。大麻事件が八百長問題に飛び火した。

 大麻事件が八百長問題に飛び火した。「週刊現代」の発行元である講談社はこの日、千秋楽を迎えた秋場所の打ち出し後、ファクスを報道各社あてに送付。元若ノ鵬が29日に記者会見を開いた上で八百長問題を告発し、日本相撲協会と「週刊現代」などで係争中の民事裁判に、出廷したいという意思を示すことを明らかにした。週刊現代編集部側はこの日、「すべては会見で明らかにします」とだけ話した。

 元若ノ鵬は大麻所持で逮捕され、同協会を解雇された。9月11日には「処分が厳しすぎる」として「解雇無効」を求めて民事訴訟を起こしたばかり。同日の記者会見では「どうしても相撲に戻りたい。裁判はよくないと分かっているけど、相撲に戻るために裁判、やります」と語っていた。そして今回は、講談社側について「八百長を告発する」という大胆な行動に出るという。

 週刊現代による今回の「八百長疑惑報道」は、07年初場所後から始まった。06年九州場所で全勝優勝した横綱朝青龍の取組をめぐり八百長が行われていたなどと報じ、その後もキャンペーン報道は続いた。朝青龍や日本相撲協会はそれらを「事実無根」とし、次々と名誉棄損で東京地裁に提訴。現在3つの件について係争中だ。

 10月3日には、東京地裁で行われる口頭弁論に協会側の証人として横綱朝青龍が出廷する。一方、元若ノ鵬に近い関係者によると、元若ノ鵬は10月16日に同地裁で行われる法廷に立つことが濃厚という。同日は協会と北の湖前理事長が提訴した訴訟の口頭弁論が行われる。協会側からは前理事長が出廷するが、講談社側が証人申請した先代二子山親方(元大関貴ノ花の花田満氏=享年55)の元夫人・藤田憲子さんは、これを拒否。「八百長がある」と報道の真実性を証明したい講談社側は、その代役として元若ノ鵬に白羽の矢を立てたとみられる。

 元若ノ鵬は起訴猶予になった後は都内のマンションに在住。この日はインターホン越しの取材にも応じることはなかった。