横綱朝青龍(28=高砂)が、自分のことは棚に上げ、若手を熱血指導した。大相撲秋場所(13日初日、両国国技館)に向けて5日、東京・墨田区の春日野部屋で出げいこし、東前頭筆頭の栃ノ心(21)らと10番取った。前日4日の横綱審議委員会(横審)けいこ総見では、緩いけいこ内容に厳しい意見が続出したが、気にするそぶりはなくマイペース。ぶつかりげいこでは「甘えんな!」「遊びじゃないんだよ!!」と、大声を張り上げていた。

 けいこ終了間際のぶつかりげいこで、朝青龍の大声がけいこ場に響いた。「甘えんな!」「遊びじゃないんだよ!!」。直前まで自身と7番連続で取ってヘロヘロの栃ノ心に胸を出し、押させては土俵上に転がし、また押させる“かわいがり”を約5分間続けた。

 4日の横審けいこ総見では、内館牧子委員が「今までで最低。覇気がなさすぎる」と批判したが、その怒りは朝青龍の胸には響かなかったのか。報道陣から「5番しか取らずに横審委員から批判が噴出したが」と向けられると「(右ひざは)まあまあ。少しずつ。ずっと最近、雨だったから気分が天気次第になっちゃったよ」。われ関せずといった様子で、はぐらかした。

 5番にとどまったけいこ総見に比べれば番数は2倍に増やしたが、栃ノ心に力負けする場面もあった。痛めている右ひざにはテーピング。突き、押しを出した後には古傷の左ひじをさかんに気にし、その点を指摘され「この年になると、あっちこっち痛いわ」と苦笑いした。それでも、栃ノ心との6勝2敗に満足したのか「栃ノ心は強くなる感じがする。けいこしたら本人の大きな財産になるよ」と、ご機嫌だった。【山田大介】