<大相撲夏場所>◇14日目◇22日◇両国国技館

 横綱白鵬(25=宮城野)が黄金まわしを解禁した。通算14度目の優勝決定から一夜明け、優勝回数で並んだ元横綱輪島のトレードマーク「金の締め込み」で初登場。ファンを喜ばせながら大関琴欧洲(27)を寄り倒して、初場所14日目から31連勝とした。千秋楽に勝てば、春場所に続く6度目の全勝V。史上6人目の「2場所連続15戦全勝」へ手綱は緩めない。

 無敵横綱の、せめてものファンサービスだった。白鵬が、今場所3度目の札止めの国技館を取組前から沸かせた。花道脇にファンが駆け寄る。奥に控える白鵬を、カメラ片手にのぞき込む。優勝を決めた焦げ茶ではなく「黄金まわし」で現れると館内はどよめいた。「優勝したら締めようと思っていた。運が良かったかもね、早く優勝して」。13日目に輪島氏と同じ14度目の優勝達成。同氏のトレードマーク色に染まり、初場所14日目から31連勝とした。

 「効果」もあった。かつて33連勝で止められた琴欧洲に苦戦。立ち合いで相手得意の左上手をつかまれ、いきなり「金さがり」が吹っ飛んだ。「初めて(締めた)なので、負けられないという気持ちが強かった」。輪島氏得意の左下手投げで長身大関を崩し、最後は左かいなを返して土俵下まで落とした。「左下手で決めたかった?」の問いを「ないないない」と笑って否定したが、苦境を救ったのは「黄金の左」だった。

 打ち出し後は輪島氏と今場所2度目の会食。優勝とまわしの報告をした。過去5度の無傷14連勝で全勝Vを達成。史上6人目の2場所連続15戦全勝へ数字も後押しする。「勝ったら勝ったで。いつもどおりです」。黄金時代を満喫する白鵬に「消化試合」という雰囲気はなかった。【近間康隆】