八百長についての情報を募る「ホットライン」が16日、日本相撲協会員を対象に開通した。情報伝達手段は手軽な電話でなく、メール、ファクス、手紙に限られ、期間は3月15日まで。この日、各部屋に配布されている携帯情報端末「iPad」でホットラインの情報が伝えられたが、どこまで「タレコミ」が得られるか見通しは立っていない。

 発表から2日たち、ホットラインが開設された。電話と思われたが、実際にはメール、ファクス、手紙の3種類の方法で、いずれも宛先は調査委の深沢、長尾、村上各委員の弁護士事務所になった。電話でない理由について、調査委は「実名が原則だから」と説明。電話で偽名を語られる可能性を避けることも理由の1つという。

 伊藤座長は12日にホットラインの概要を発表した際「大企業ではセクハラについてのホットラインを設置している」と例を挙げた。だが、セクハラのケースでは、匿名による電話が一般的。電話より、手間暇の掛かる手段で、どれだけ情報収集できるかは、やってみないと分からない。

 また、iPadでメールアドレスやファクス番号が伝えられたが、力士らへの伝達は、各部屋の良心に任せられる。親方が保持していた場合、角界にとって不都合な伝達情報を積極的に開示するとは、考えにくい。弟子が自ら親方に聞きにいける情報でもない。

 調査委は情報元の秘匿を約束するが、電話に比べて手間暇が掛かり、「証拠」が明らかに残ってしまう抵抗感も否めない。放駒理事長(元大関魁傑)は「疑ったらきりがない。iPadは、情報共有化を図るために配った。親方衆は(力士らに)話してくれるもんだと思っている」と話した。

 もともと、全協会員への記名アンケートでは、思ったような情報が得られなかったために、善後策としてホットラインの開設が決まった。期間は3月15日までで、今日17日の評議員会でも情報が開示される。調査委は「期限を切った方が、早くくるという趣旨。その時点で、続行か延長を考える」とした。果たして、八百長問題の全容解明への助力となるのか。各協会員の八百長撲滅への本気度が、試されている。