<大相撲九州場所>◇12日目◇24日◇福岡国際センター

 横綱白鵬(26=宮城野)が、新大関の琴奨菊(27=佐渡ケ嶽)を破り全勝を守った。12勝以上挙げた場所の連続記録を20場所とし、自身の記録を更新した。琴奨菊は3連敗。平幕の若荒雄も3敗目を喫し、白鵬が今日13日目に琴欧洲に勝てば21度目の優勝が決まる。

 琴奨菊を後押しする声援があっさりとため息に変わった。白鵬が冷静に新大関を転がした。相手の鋭い立ち合いを受け止め、取られた前みつを即座に切る。左四つで動きを止めると出てくる力を利用して小手投げを決めた。全くすきを見せずに12連勝。新大関の健闘をたたえる場内の拍手の中を、涼しい顔で引き揚げた。「相手の上を読んでうまくさばいた相撲だった。左四つになってからチャンスを待った」とどこまでも冷静に分析した。

 琴奨菊には名古屋場所、秋場所と連敗していたが「新大関の地元だし、応援は大きかったのでのまれないようにした」と振り返った。今日13日目に勝てば優勝が決まる。「それは分からん」と報道陣の機先を制したが「今日は今日。明日は明日。明日の風が吹けばいいんじゃないかな」とわずかに笑みを浮かべた。

 11日目に稀勢の里を破ったことで、一段と波に乗った。部屋に戻ってVTRをチェック。宮城野親方も「珍しく見ていたね。30~40分、部屋から出て来なかった」と語った。昨年の九州場所は連勝記録がかかり、止まった。状況が違うだけに、単純に比較はできないが醸し出す雰囲気が違うという。「自分の相撲が取れているから納得しているんだろう」と師匠も目を細めた。

 視界にとらえるのは6場所ぶり、9度目の全勝V。「場所前からそう決めて臨んだ。気を引き締めていい相撲を取るだけ」。シンプルな言葉に、全勝への決意を凝縮させた。【高橋悟史】