<大相撲夏場所>◇2日目◇7日◇東京・両国国技館

 新大関の鶴竜(26=井筒)に早くも土がついた。東前頭2枚目の東前頭2枚目妙義龍(25=境川)に押し出され、大関戦初勝利を献上。他の大関陣では日馬富士(28=伊勢ケ浜)琴欧洲(29=佐渡ケ嶽)も初黒星を喫した。初日は史上初めて6大関がそろって白星スタートを決めたが、この日は一転して波乱続きとなった。

 大関陣に負の連鎖反応が起きてしまった。まず登場の日馬富士が敗れると、鶴竜、琴欧洲と3連敗。中でも注目の鶴竜は、つまらない“ミス”で大関初黒星を喫した。「立ち合いは悪くない。でも自分で判断してしまった。相手が落ちたと思って、止まってしまった。ダメですね」。

 引き技を狙い、前のめりの妙義龍を見て「あ、勝ったな」。ところが残った相手に押し込まれ、再び引いたが後の祭りだった。初日は重圧の中で完勝。2日目で雰囲気に慣れたことで「ちょっとリラックスしすぎたかも」と悔やんだ。

 初日安泰だった6大関が一夜にして崩れた。日馬富士は過去2勝だった臥牙丸に不覚を取った。土俵際で逆転の突き落としも及ばず「相手を見ながらいってしまった」。初日に痛めた右目はまだ赤く、この日は朝稽古をせず病院で治療を受けていた。3番手の琴欧洲は、豪栄道を組み止めたかったかと聞かれて「そうですね」などと力なくつぶやくだけだった。

 大関は常に優勝を求められる。これまでと立場が変わった鶴竜はこの日朝、土俵上の気持ちの持ち方を力説していた。「『負けないぞ』というのは、どこからでも来いという状態。いい相撲を取ろうと思える。でも『勝たなきゃいけない』ではダメ。何とかごまかしてもという感じ」。

 ただこの敗戦で守りの姿勢に入っては、ズルズル行く危険性もはらむ。北の湖理事長(元横綱)は「怖いのは連敗。負けた翌日が大事だ」と初黒星の3大関に奮起を促す。鶴竜も「気を引き締めて、引きずらないこと」と切り替えに必死だ。6大関サバイバル戦は、中日以降に星のつぶし合いが待っている。今場所注目の新大関も、それまで踏ん張って白星をつないでいきたい。【大池和幸】