11年4月に八百長関与と認定されて日本相撲協会から追放された元蒼国来の恩和図布新(おんわとうふしん)氏(29)が25日、地位確認訴訟で東京地裁から解雇無効との判決を勝ち取った。敗訴した日本相撲協会は、判決を覆すだけの証拠が乏しいため控訴を断念することが、協会関係者の話で分かった。4月上旬の臨時理事会で正式決定する。引退した力士が復帰するという前代未聞の事態になる。

 まげを結い、うすい緑の着物を着た元蒼国来は、土俵を離れた2年間について「本当に長かった。応援してくれる方が心の支えになった」と話した。ジムでトレーニングしたり、ラグビーの社会人チームに混じったり、体力を落とさないように努めてきた。ただし、相撲の稽古不足は否めない。解雇前、130キロ程度だった体重について「変化はない。でも筋力的には落ちている気がしている」と話した。

 この2年間は知人の家などで世話になっていたが、所属していた荒汐部屋に戻ることも検討。「これから考えたい。親方と電話して確認したい」とした。2年間のブランクは大きく、もともと幕内下位だった元蒼国来にとって、厳しい戦いが強いられる。「応援してくれた方々へ恩返ししたい。今まで以上のいい相撲を見せたい」と意気込んだ。