逸ノ城が、遠藤に押し出された!?

 大相撲秋場所で数々の最速記録を塗り替えた逸ノ城(21=湊)のグッズのうち、人気の携帯ストラップの製造が遅れることになった。「遠藤ストラップ」の製造過多などで印刷機が壊れたためで、思わぬ余波を受けた。逸ノ城は秋巡業からまげを結うことを明言しているが、時間もなく2種類は作れないため、九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)では「ざんばら髪」バージョンだけになる。

 初対戦をする前に、逸ノ城の出足が遠藤に止められてしまった。急激な人気沸騰で協会公認グッズがなく、製作が急がれている逸ノ城グッズ。だが、人気の携帯ストラップの製作が遅れることになった。理由は「遠藤ストラップ」だった。

 製作を担当する相撲錦絵師の木下大門さんは「すぐに作ろうと思っていたんですが、業者の印刷機械が壊れてしまって間に合わない。遠藤ストラップを作りすぎて、老朽化してしまったんです」と明かした。

 豆力士型の携帯ストラップは木下さんがデザインし、業者に布への印刷と縫製を依頼。完成品を、両国国技館で物販を手掛ける国技館サービスに卸す流れだ。

 今年に入って遠藤の人気が爆発。初場所から販売した遠藤ストラップは瞬く間に完売した。ざんばら髪に始まり、まげ姿。さらに秋場所2日目からは、過去に例がない浴衣姿までつくられた。短期間で「1万個以上作った。その影響もあって、インクを出す穴が広がってしまったようで、画像が雑になったんです」。

 業者がなんとか、同じ機械を持つ、相撲と無関係の会社に頼んで印刷できる手配はできたが、10日の横浜から始まる秋巡業からの販売は断念。九州場所へと照準を変更した。逸ノ城は秋巡業からまげを結う予定だが「2種類は間に合わない。要望も多いので、九州場所ではざんばら髪バージョンだけ作るつもりです」と話した。

 遠藤対逸ノ城の場外編。思わぬ形で出足を止められた逸ノ城は、どこまで巻き返すか。【今村健人】

 ◆力士グッズ

 業者から「○○の商品をつくりたい」と提案された国技館サービスが審査して決まる。両国国技館内の販売は同サービスが手掛ける。定番の手形色紙や湯飲み茶わんに、タオル、Tシャツなどがあり、最近では携帯ストラップが人気。力士の冠がつく弁当は大関になってから作られる。商品は関取以上から作れるが、十両力士の物はほとんどない。種類は横綱、大関が多いが、人気力士になると増える。