日本相撲協会は27日、九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。秋場所新入幕で1横綱2大関を倒して13勝した逸ノ城(21=湊)は、番付を11枚も上げて史上最速の所要5場所で新関脇に昇進した。まげも初めて結って、かわいらしい?

 姿に変身。「本当のお相撲さん」になったモンゴルの怪物は、次は立ち合いの変化なしで勝負に挑むことを誓った。

 引っ張り上げられた髪。表情は引き締まり、目も少しつり上がった。だが、顔の丸い輪郭があらわになったことで、かえってかわいらしさが増した。逸ノ城は、ちょこんとした小さなまげを「後ろがスースーする」とさすりながら「こんなに早く関脇に上がると思っていなかった」と驚いた。

 無理もない。秋場所から、番付を11枚も上げた。小結を素通り。幕下付け出しデビューでは昭和以降最速、新入幕の翌場所では昭和以降初めての関脇昇進となった。早くも上位総当たり。だが「不安は全くない。楽しみ」と不敵に笑った。

 ただ、決して甘くはみていない。「これからが厳しいと思う」と、研究されることは承知。師匠の湊親方(元前頭湊富士)も言う。「今場所どれだけ勝てるか勝てないかで、この先どうなっていくか想像できる。一番重要な場所」。

 秋場所で横綱鶴竜と大関稀勢の里から得た白星は、立ち合いで変化した注文相撲だった。批判的な声も届いたというが、湊親方は「新入幕ですから。あれはあれでいい」と理解を求めた。その上で「今場所はそうはいかない」。逸ノ城も「変化はなしに、真っすぐ当たっていきたい」と誓う。今場所も勝てば、その力は間違いなく「本物」。真の力を証明するための九州場所になる。

 帯状疱疹(ほうしん)で入院中、繰り返し見た映像は敗れた勢戦。研究なら、負けてはいない。「勝ち越しを目指したい」。その言葉は、秋場所前とまったく同じだった。【今村健人】