奈良産業大(奈良県三郷町)硬式野球部の元監督(50)が経営する整骨院の療養費不正受給問題で、不正受給が総額約4200万円に上ることが、奈良県と近畿厚生局の調べで13日分かった。

 県と厚生局は今週中にも整骨院の施術管理者として登録されていた柔道整復師3人に対して、全額返還を請求する。保険給付の請求ができる受領委任業務を停止する処分も検討している。

 県などによると、整骨院は2006年10月開設。08年1月まで登録していた整復師と、その後を引き継いだ整復師の2人は、聞き取りに対し、全く勤務実態がない“名義貸し”状態だったことを認めた。その間は無資格の従業員が施術していた。

 この間、野球部員に白紙の「療養費支給申請書」に名前を記入させる不正請求が行われ、08年7月に登録した3人目の整復師は、勤務実態はあったが、部員を使った不正請求を続けていた。

 県などは、不正受給を主導していたのは経営者の元監督だったとみているが、保険給付の請求者ではないため、元監督に返還を直接求めることはできないという。