<全日本大学野球選手権:東洋大5-2創価大>◇準々決勝◇11日◇神宮

 11年秋ドラフトの目玉左腕、東都大学リーグMVPの東洋大(東都)藤岡貴裕投手(3年=桐生一)が、大学選手権初先発で完封こそ逃したが9回3安打2失点で完投勝利を飾った。昨春準々決勝で敗れた創価大(東京新大学)に雪辱を果たし、2年ぶりの4強進出となった。

 ポンポンと上がる飛球を、藤岡は満足そうに見つめていた。5回2死まで、1三振と盗塁死以外、12者連続(遊直含む)フライアウト。「前半は真っすぐが良かった。後半はスライダーでカウントがとれました」と振り返る。最速147キロの直球と変化球で、9回3安打5奪三振。18アウトを飛球で奪った。高橋昭雄監督(62)は「フライが多かったでしょう。球の力で勝っていた」とたたえた。

 今春リーグ戦は6勝1敗で最高殊勲選手に輝いた。大学選手権は3年連続の出場だが、2年前の優勝時は登板なし。09年は中継ぎで2試合投げただけだった。「先発したら最後まで投げたい。自分が投げて優勝を目指したい」と責任感が強くなった。

 10日は同学年の東海大・菅野が7回参考ながらノーヒットノーランを達成した。「全日本に入っているし、すごい」と刺激にする。12日の準決勝は救援待機。決勝で再び先発するVローテーションは、開幕前に伝えられている。

 食生活では大好きなフライ料理や炭酸飲料を控え、トマトなど苦手な野菜を摂取して肉体改造に取り組む。来秋の目玉候補チェックのために、田沢獲得に動いたレッドソックスのシプリー副社長、ディーブル環太平洋スカウトが、そろって試合終了まで一塁側スタンドで見つめた。ジャイアンツ、レンジャーズ、パドレス、メッツなども視察。注目度は日増しに高まっている。【前田祐輔】