アスレチックス対マリナーズ 8回表マリナーズ2死二塁、イチローは内野ゴロを放ち、一塁へ全力疾走を見せる(撮影・林敏行)
アスレチックス対マリナーズ 8回表マリナーズ2死二塁、イチローは内野ゴロを放ち、一塁へ全力疾走を見せる(撮影・林敏行)

イチローは勇気ある決断をしたと思う。まだ彼の中では「やれる」「やりたい」という気持ちがあったと思うから。でもチームが米国に戻ってからではなく、日本で決断したというところが彼らしい。米国で活躍するイチローよりも「日本代表」としてのイチローという気持ちが強かったんじゃないかな。

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これで1つの時代が終わった気がする。あの116勝もした01年のマリナーズはとにかく強かった。それを知っている人間がいなくなってしまうのは寂しいね。でもイチローの野球への取り組み方は本当にリスペクトできる。去年はメンバーから外れて辛かったと思うが、その中でも腐らずにこうやってやってきた。さすがイチローだ。

菊池の投球もイチローへのはなむけに十分なりうるものだったと思う。開幕シリーズで、しかも自らのデビュー戦で疲れ方は普段とは全然違ったはず。そんな中でよく投げた。立ち上がりから直球はしっかり指先にかかっていたし、スピードガン以上の速さがあった。サービス監督も勝たせてあげようと考えてはいたが、最後は球数で交代となった。これは米国だからしょうがない。

ボールをこねるしぐさがあまりなかったのも、大リーグのすべる球にすでに対応できている証拠。次戦からは米国のいろいろな場所、気候の中で投げるが、これまでの日本人投手よりも適応は早そうだ。イチローに代わりマ軍の顔となれるような投球をしていってほしい。(日刊スポーツ評論家)

佐々木主浩氏(左)とイチロー(2003年9月11日撮影)
佐々木主浩氏(左)とイチロー(2003年9月11日撮影)